もう一度好きだと言って。
2008-03-28
映画いかない?
食事いこうよ?
電話していい?
スゴイタイプなんだ
こんなにときめいたのひさしぶり
好きになってもいい?
俺じゃだめ?迷惑?
好きだよ
甘くてとろけそうな彼の言葉が並ぶ。
本当にそんなこと思ってるの?
これは何かの罰ゲーム
そういうプレイ?
からかってるんでしょ。
あなたもてそうだもん、皆にそんなこと言ってるんでしょ。
知り合ったばかりでまだよくわからない。
私はやはり今回の恋も素直になれない。
いやきっと違う。
あとから、「冗談だよ」と言われるのが怖いのだ。
自分が傷つきたくないのだろう。
★★
「週末は友達と約束してるから」
何のためにそんな嘘を私はついているのだろう。
「もう、いいよ、もう、誘ったりしないから
俺を観察した結果がその答えなんだろ?」
彼は苦笑していた。
ひどくあきれたようにそう言った。
「ちが・・う」
私の心はひどく痛んだ。
「違わないよ。俺が嘘つきかどうかみきわめていたんだろ
品定めしてたってことだよな」
「そんなこと・・してない」
小さな声でそうつぶやいた私の肩をポンとたたき
「じゃあね」と言葉を残し彼は去っていった。
触れられた私の肩の熱は急速に冷めていった。
誘われるたびに彼の本心をさぐろうとしていたのは事実ではないか。
私は自分が傷つかないようにとそればかり考えていたのだろう。
砂糖菓子のような甘い甘い彼がくれた言葉は
あとかたもなく溶けて、そしてはかなく消えていった。
→
彼が腕を広げて「さあ、ここにおいで」と言ってくれているのですから、
飛び込んでしまえばよいのですよ。
相手の気持ちが本当かどうか?などと考えていたら
いつまでたっても恋はできません。
自分は相手を好きかどうか?これを先に考えればよいのかもしれません。
食事いこうよ?
電話していい?
スゴイタイプなんだ
こんなにときめいたのひさしぶり
好きになってもいい?
俺じゃだめ?迷惑?
好きだよ
甘くてとろけそうな彼の言葉が並ぶ。
本当にそんなこと思ってるの?
これは何かの罰ゲーム
そういうプレイ?
からかってるんでしょ。
あなたもてそうだもん、皆にそんなこと言ってるんでしょ。
知り合ったばかりでまだよくわからない。
私はやはり今回の恋も素直になれない。
いやきっと違う。
あとから、「冗談だよ」と言われるのが怖いのだ。
自分が傷つきたくないのだろう。
★★
「週末は友達と約束してるから」
何のためにそんな嘘を私はついているのだろう。
「もう、いいよ、もう、誘ったりしないから
俺を観察した結果がその答えなんだろ?」
彼は苦笑していた。
ひどくあきれたようにそう言った。
「ちが・・う」
私の心はひどく痛んだ。
「違わないよ。俺が嘘つきかどうかみきわめていたんだろ
品定めしてたってことだよな」
「そんなこと・・してない」
小さな声でそうつぶやいた私の肩をポンとたたき
「じゃあね」と言葉を残し彼は去っていった。
触れられた私の肩の熱は急速に冷めていった。
誘われるたびに彼の本心をさぐろうとしていたのは事実ではないか。
私は自分が傷つかないようにとそればかり考えていたのだろう。
砂糖菓子のような甘い甘い彼がくれた言葉は
あとかたもなく溶けて、そしてはかなく消えていった。
→
彼が腕を広げて「さあ、ここにおいで」と言ってくれているのですから、
飛び込んでしまえばよいのですよ。
相手の気持ちが本当かどうか?などと考えていたら
いつまでたっても恋はできません。
自分は相手を好きかどうか?これを先に考えればよいのかもしれません。
ウォーキングラブ
2008-03-26
早朝の遊歩道、
すれ違う彼女。
僕を惑わす彼女のフレグランスは何だろう。
僕の歩数計もドキドキだ。
何万歩歩いたら彼女となかよしになれるかな?
ショートカットの髪に細くて優雅な首。
黒目がちの瞳は僕の心を揺さぶる。
ほっそりとした長い手足。
軽くジョグしてるときもあるし僕みたいに早足で有酸素運動してるときもある。
パステルカラーの上下は彼女の柔らかい雰囲気によく似合っていた。
いきなり声をかけたらきっとひいちゃうだろうな。
でもどうしたらいいのだろう。
話しかけたいのに変質者呼ばわりが怖くて僕は今日も貝のように無口になる。
昨日は綺麗な満月だった。
僕は月に誓ったのだ。
明日こそは彼女に話しかけてみようと。
シューズの紐をきゅっと締めて両頬を思い切りパン!と叩いて
僕は気合をいれる。
珍しく霧がたなびく朝だった。
僕は遭難でもしたかのようにゆっくりといつもの道を歩いた。
トレーニングというよりもこれではまるで散歩のような速度だ。
かたつむりのようにのろのろと手探りで歩いていた。
嗅ぎ慣れたフレグランスはきっと彼女のものだろう。
僕は深呼吸した。
声をかけなければ何も始まらないのだ。
たとえストーカーとののしられることがあっても僕は彼女をあきらめるわけにはいかない。
だってこんなにも胸がときめく相手に出会ったのはうまれてはじめてだったから。
「あの・・・「凄い霧ですね」」
彼女と僕は同時にお互いにしゃべりかけていた。
僕は舞い上がっていた。
「そうですね。霧降の滝を思い出しましたよ」
僕はわけのわからないことを口走っていた。
「あら、小学生のときの修学旅行でいきましたよ」などと
言ってくれる。
とても優しい人なんだと思った。
「あの、また、明日会えますか?」
「・・・はい」
僕の心拍数はバクバクとはねあがりどうしょうもない躍動感を覚えた。
この霧が晴れたら、僕は、明日彼女にこの想いを告げることにしよう。
→
出会いはいろいろなところにあるものなのです。
カタツムリのようなのんびりな想いでもいつか形になるのかもしれません。
お外に出て恋をみつけにいきましょう。
すれ違う彼女。
僕を惑わす彼女のフレグランスは何だろう。
僕の歩数計もドキドキだ。
何万歩歩いたら彼女となかよしになれるかな?
ショートカットの髪に細くて優雅な首。
黒目がちの瞳は僕の心を揺さぶる。
ほっそりとした長い手足。
軽くジョグしてるときもあるし僕みたいに早足で有酸素運動してるときもある。
パステルカラーの上下は彼女の柔らかい雰囲気によく似合っていた。
いきなり声をかけたらきっとひいちゃうだろうな。
でもどうしたらいいのだろう。
話しかけたいのに変質者呼ばわりが怖くて僕は今日も貝のように無口になる。
昨日は綺麗な満月だった。
僕は月に誓ったのだ。
明日こそは彼女に話しかけてみようと。
シューズの紐をきゅっと締めて両頬を思い切りパン!と叩いて
僕は気合をいれる。
珍しく霧がたなびく朝だった。
僕は遭難でもしたかのようにゆっくりといつもの道を歩いた。
トレーニングというよりもこれではまるで散歩のような速度だ。
かたつむりのようにのろのろと手探りで歩いていた。
嗅ぎ慣れたフレグランスはきっと彼女のものだろう。
僕は深呼吸した。
声をかけなければ何も始まらないのだ。
たとえストーカーとののしられることがあっても僕は彼女をあきらめるわけにはいかない。
だってこんなにも胸がときめく相手に出会ったのはうまれてはじめてだったから。
「あの・・・「凄い霧ですね」」
彼女と僕は同時にお互いにしゃべりかけていた。
僕は舞い上がっていた。
「そうですね。霧降の滝を思い出しましたよ」
僕はわけのわからないことを口走っていた。
「あら、小学生のときの修学旅行でいきましたよ」などと
言ってくれる。
とても優しい人なんだと思った。
「あの、また、明日会えますか?」
「・・・はい」
僕の心拍数はバクバクとはねあがりどうしょうもない躍動感を覚えた。
この霧が晴れたら、僕は、明日彼女にこの想いを告げることにしよう。
→
出会いはいろいろなところにあるものなのです。
カタツムリのようなのんびりな想いでもいつか形になるのかもしれません。
お外に出て恋をみつけにいきましょう。
そして彼は冷めていく
2008-03-24
「可愛すぎる」
彼は少しかすれた声で囁き私を愛しそうに見下ろした。
彼の長い指が私の髪に頬に首筋に降りていく。
そして唇を奪われる。心まで根こそぎもっていかれる。
永遠と思えるくらいの時を過ごした。
甘く激しくお互いの欲望を満たしあう。
彼のほとばしる汗と私の秘めていた情熱が絡み合い溶け合う。
★★
「どうしたの、さっきから携帯ばかりみて」
ファミレスでランチを食べながら友人がからかう。
「えっ、別に、なんでもない」
「彼氏でもできた?」
何の悩みもなさそうな彼女は豪快に笑っている。
「そうだといいね、毎日楽しそう」
私はひきつった笑顔を彼女に向ける。
「そうかなあ。彼氏なんてできたらすごいことになりそう。
平凡だけど今のままでいいかも」
彼女はハンバーグを口に入れもぐもぐとおいしそうに食べていた。
私も少し前までこんなふうにお気楽な毎日を過ごしていたではないか。
★★
『お元気?仕事とか忙しいのかな?会いたいな』
私はメールを書いては消していた。
イライラする、不安になる、彼は私の心をかき乱す。
鎖骨につけられた彼の私への愛の証はもう消えかかっていた。
部屋はいつのまにか荒れていた。
掃除は手抜き、食事もあり合わせ、私はいったい何をしているのだろう。
思うことは彼のことばかりになっていた。
あの日私は彼に愛されたのではなかったのか。
あれから一度も彼からの連絡はなかった。
もう2週間になる。
何度目かのため息をついて覚悟を決めて私はメールを送信していた。
★★
昼に出したメールの返事は夜になってようやく届いた。
私はエプロンのポケットの中の携帯を取り出した。
夫は今夜も残業なのかまだ帰ってきていない。
『元気だよ。仕事はそこそこかな』
たったそれだけだった。
私はあわてて返事を書いていた。
『寂しくなっちゃった。会いたい』
今度はすぐに返事がきた。
『まさか本気で言ってる?俺たちただのメル友じゃない。
俺、いつも一度だけって決めてるんだよ。言わなかったっけ?
そのほうが燃えるだろ?遊びなんだから』
私は携帯を放り投げリビングの床に座り込んでいた。
涙は不思議と出なかった。
感じたのは深く不快な自己嫌悪。
退屈で平凡だけれど暖かい日常が私の居場所だったのだ。
刺激的で官能的な非日常は幻だった。
ありもしない恋とやらに浮かれて一人大騒ぎ。
本当に馬鹿みたい
→
彼はまたどこかの人妻さんを追いかけて狩りをしているのかもしれませんね。
刺激的な恋はどうしょうもなく魅力的なものなのです。
彼は少しかすれた声で囁き私を愛しそうに見下ろした。
彼の長い指が私の髪に頬に首筋に降りていく。
そして唇を奪われる。心まで根こそぎもっていかれる。
永遠と思えるくらいの時を過ごした。
甘く激しくお互いの欲望を満たしあう。
彼のほとばしる汗と私の秘めていた情熱が絡み合い溶け合う。
★★
「どうしたの、さっきから携帯ばかりみて」
ファミレスでランチを食べながら友人がからかう。
「えっ、別に、なんでもない」
「彼氏でもできた?」
何の悩みもなさそうな彼女は豪快に笑っている。
「そうだといいね、毎日楽しそう」
私はひきつった笑顔を彼女に向ける。
「そうかなあ。彼氏なんてできたらすごいことになりそう。
平凡だけど今のままでいいかも」
彼女はハンバーグを口に入れもぐもぐとおいしそうに食べていた。
私も少し前までこんなふうにお気楽な毎日を過ごしていたではないか。
★★
『お元気?仕事とか忙しいのかな?会いたいな』
私はメールを書いては消していた。
イライラする、不安になる、彼は私の心をかき乱す。
鎖骨につけられた彼の私への愛の証はもう消えかかっていた。
部屋はいつのまにか荒れていた。
掃除は手抜き、食事もあり合わせ、私はいったい何をしているのだろう。
思うことは彼のことばかりになっていた。
あの日私は彼に愛されたのではなかったのか。
あれから一度も彼からの連絡はなかった。
もう2週間になる。
何度目かのため息をついて覚悟を決めて私はメールを送信していた。
★★
昼に出したメールの返事は夜になってようやく届いた。
私はエプロンのポケットの中の携帯を取り出した。
夫は今夜も残業なのかまだ帰ってきていない。
『元気だよ。仕事はそこそこかな』
たったそれだけだった。
私はあわてて返事を書いていた。
『寂しくなっちゃった。会いたい』
今度はすぐに返事がきた。
『まさか本気で言ってる?俺たちただのメル友じゃない。
俺、いつも一度だけって決めてるんだよ。言わなかったっけ?
そのほうが燃えるだろ?遊びなんだから』
私は携帯を放り投げリビングの床に座り込んでいた。
涙は不思議と出なかった。
感じたのは深く不快な自己嫌悪。
退屈で平凡だけれど暖かい日常が私の居場所だったのだ。
刺激的で官能的な非日常は幻だった。
ありもしない恋とやらに浮かれて一人大騒ぎ。
本当に馬鹿みたい
→
彼はまたどこかの人妻さんを追いかけて狩りをしているのかもしれませんね。
刺激的な恋はどうしょうもなく魅力的なものなのです。
バイバイ、彼女
2008-03-23
「じゃあ、明日な」
「明日って何?」
彼女は小首をかしげて俺を大きな目で見上げる。
「新しくできた店に行ってみたいんじゃなかったのか?」
「ああ、それね。明日はゼミが一緒のナカタニ君とでかけるつもり」
下をペロッと出してゴメンと手を合わせる。
ナカタニ?またあいつか。
年中この調子だった。
好きだと告白した時も彼女はありがとうと言ってその後はニコニコするだけだった。
俺との約束は平気で破るしそもそも俺のことなどなにひとつ気にかけることなどないのだろう。
通りすがりのその他大勢ということなのだろう。
いつもならその笑顔に負けてしまい何もかも許してしまうのだ。
でもそろそろ俺も限界だった。
「その気がないなら曖昧なこと言うなよ」
「何?何か怒ってるの?」
「・・・俺のこと、どう思ってる?」
「どうって?何でまたそんなこと聞くの。親友でしょ?」
「それ以上になりたいと言ったら?」
俺は彼女の腕をきつくつかんでいた。
彼女はかすかに震えおびえたように俺をみた。
「痛い、離して」
俺は力をすこしゆるめたがそのままにしておいた。
「俺の気持ちはいつまでたってもうっとうしいのか?まだ友達としか思えないか?」
「・・・うっとおしいなんて思ってないよ。
でも、私、だれともつきあったことないからよくわかんないよ。今のままで十分楽しいもの」
「・・・そうか。嫌いっていわれたほうがまだましだな」
「だって嫌いじゃないもの」
「でも彼氏にしたいほどの好きではないんだろ?」
「意地悪だね」
「好きな奴ができたらきっとそいつとはつきあうんだろう?俺じゃだめなんだろう」
彼女は何かを言いかけていたがやがて沈黙した。
俺は彼女に背を向けたまま手を振った。
彼女が俺の名を呼ぶ。
泣いているみたいな声だった。
だが俺はもう振り向かない。
さよなら
俺のつぶやきは茜色の空に消えた。
→
寂しいから甘えたいから一緒にいると楽だから、理由はさまざまだとおもいますけれど
その気もないのに友達にしか思えないのに、あるいは、誰からも嫌われたくないということで
可愛い言葉と態度で無意識に男性を振り回す女性は存在いたします。
そういった自称恋に不慣れな甘えん坊さんたちは本当に好きな人ができたらあっさりと
その人の手に落ちていくのであります。
その恋まだ追いかけますか?
「明日って何?」
彼女は小首をかしげて俺を大きな目で見上げる。
「新しくできた店に行ってみたいんじゃなかったのか?」
「ああ、それね。明日はゼミが一緒のナカタニ君とでかけるつもり」
下をペロッと出してゴメンと手を合わせる。
ナカタニ?またあいつか。
年中この調子だった。
好きだと告白した時も彼女はありがとうと言ってその後はニコニコするだけだった。
俺との約束は平気で破るしそもそも俺のことなどなにひとつ気にかけることなどないのだろう。
通りすがりのその他大勢ということなのだろう。
いつもならその笑顔に負けてしまい何もかも許してしまうのだ。
でもそろそろ俺も限界だった。
「その気がないなら曖昧なこと言うなよ」
「何?何か怒ってるの?」
「・・・俺のこと、どう思ってる?」
「どうって?何でまたそんなこと聞くの。親友でしょ?」
「それ以上になりたいと言ったら?」
俺は彼女の腕をきつくつかんでいた。
彼女はかすかに震えおびえたように俺をみた。
「痛い、離して」
俺は力をすこしゆるめたがそのままにしておいた。
「俺の気持ちはいつまでたってもうっとうしいのか?まだ友達としか思えないか?」
「・・・うっとおしいなんて思ってないよ。
でも、私、だれともつきあったことないからよくわかんないよ。今のままで十分楽しいもの」
「・・・そうか。嫌いっていわれたほうがまだましだな」
「だって嫌いじゃないもの」
「でも彼氏にしたいほどの好きではないんだろ?」
「意地悪だね」
「好きな奴ができたらきっとそいつとはつきあうんだろう?俺じゃだめなんだろう」
彼女は何かを言いかけていたがやがて沈黙した。
俺は彼女に背を向けたまま手を振った。
彼女が俺の名を呼ぶ。
泣いているみたいな声だった。
だが俺はもう振り向かない。
さよなら
俺のつぶやきは茜色の空に消えた。
→
寂しいから甘えたいから一緒にいると楽だから、理由はさまざまだとおもいますけれど
その気もないのに友達にしか思えないのに、あるいは、誰からも嫌われたくないということで
可愛い言葉と態度で無意識に男性を振り回す女性は存在いたします。
そういった自称恋に不慣れな甘えん坊さんたちは本当に好きな人ができたらあっさりと
その人の手に落ちていくのであります。
その恋まだ追いかけますか?
友達に戻るということ
2008-03-22
付き合っていた頃と何も変わっていない。
時々彼が私の部屋にやってきて、
私がご飯を作ったり
ビデオを見たり
じゃれあったり。
抱きしめられて眠り、二人して笑いながら朝陽を眩しく思ったりしている。
そう、なにひとつ変わっていないはずだ。
★★
「ねえ、知ってた?」
「何を?」
私は4杯目のワインに酔いかけていた。
仲良しの同僚が楽しそうに語りだす。
「ミナちゃん、最近、営業のサエキさんとつきあってんだって」
「・・えっ」
グラスを持つ私の手が空中で止まった。
彼が私の身体に燃え尽きそうなほどの情熱を残していったのはつい昨日のことではなかったか。
「どうしたの?」
震えて自分自身を抱きしめている私に同僚は驚いていた。
「大丈夫、飲みすぎたみたい・・で、ミナちゃんがどうしたって?」
私は無理におどけてみせた。
「うん、ミナちゃんから直できいたのよ、のろけだね、あれは完全に」
「サエキさんから告ったのかな?」
「そうみたいよ、ずっと前からサエキさんにデートに誘われてたらしいよ。
ずっとサエキさんミナちゃんのこと狙ってたんだろうね。ミナちゃんかわいいもんね」
「・・・そうだね」
ずっと前?私と別れたいと彼が言い出した頃からだろうか。
私はグラスのお酒をぐいっとあおった。
このまま酔いつぶれてしまえばよいのかもしれない。
★★
春が過ぎ夏になっていた。
真夜中のチャイム。
こんな常識はずれの訪問者は彼しかいない。
「久しぶり、遊びにきた」
のんきにそんなことを言う彼は酔っているみたいだったがとても楽しそうだった。
彼はコンビニの袋を私に押し付けた。
缶ビールやつまみなどが入っていた。
「ご機嫌みたいね」
「さっきまで営業の奴と飲んでた」
「まだこれ、飲むの?」
「・・それもいいけどお前のほうがいいかな」
次の瞬間、乱暴に私は彼に押し倒されていた。
冷たいフローリングの感触、いつになく手荒な動作に私は悲しくなっていた。
いつのまにか寝てしまった彼をベッドに残し私はひとり浴室に向かった。
涙がとまらなかった。
声を出して泣いていた。
流れ続けるシャワーを浴びても私の心があたたまることはなかった。
彼が眠りに落ちる前につぶやいた言葉にうちのめされていた。
『・・・ミナ・・・』
きっと私は彼にとって都合のいい女になったのだろう。
いつでも抱けて文句ひとついわない女。
恋人から友達への降格。
本当はわかっていたのだ。
何もかも前とは違ってしまっていたのだということを。
→
彼が誰と付き合おうとそれをやめてとは言えない、
要するに彼を束縛することができない、
これが恋人から友達になるということですよね。
もちろんお互いに思いを残していない二人なら本当の意味での友達になることはできるかもしれません。
時々彼が私の部屋にやってきて、
私がご飯を作ったり
ビデオを見たり
じゃれあったり。
抱きしめられて眠り、二人して笑いながら朝陽を眩しく思ったりしている。
そう、なにひとつ変わっていないはずだ。
★★
「ねえ、知ってた?」
「何を?」
私は4杯目のワインに酔いかけていた。
仲良しの同僚が楽しそうに語りだす。
「ミナちゃん、最近、営業のサエキさんとつきあってんだって」
「・・えっ」
グラスを持つ私の手が空中で止まった。
彼が私の身体に燃え尽きそうなほどの情熱を残していったのはつい昨日のことではなかったか。
「どうしたの?」
震えて自分自身を抱きしめている私に同僚は驚いていた。
「大丈夫、飲みすぎたみたい・・で、ミナちゃんがどうしたって?」
私は無理におどけてみせた。
「うん、ミナちゃんから直できいたのよ、のろけだね、あれは完全に」
「サエキさんから告ったのかな?」
「そうみたいよ、ずっと前からサエキさんにデートに誘われてたらしいよ。
ずっとサエキさんミナちゃんのこと狙ってたんだろうね。ミナちゃんかわいいもんね」
「・・・そうだね」
ずっと前?私と別れたいと彼が言い出した頃からだろうか。
私はグラスのお酒をぐいっとあおった。
このまま酔いつぶれてしまえばよいのかもしれない。
★★
春が過ぎ夏になっていた。
真夜中のチャイム。
こんな常識はずれの訪問者は彼しかいない。
「久しぶり、遊びにきた」
のんきにそんなことを言う彼は酔っているみたいだったがとても楽しそうだった。
彼はコンビニの袋を私に押し付けた。
缶ビールやつまみなどが入っていた。
「ご機嫌みたいね」
「さっきまで営業の奴と飲んでた」
「まだこれ、飲むの?」
「・・それもいいけどお前のほうがいいかな」
次の瞬間、乱暴に私は彼に押し倒されていた。
冷たいフローリングの感触、いつになく手荒な動作に私は悲しくなっていた。
いつのまにか寝てしまった彼をベッドに残し私はひとり浴室に向かった。
涙がとまらなかった。
声を出して泣いていた。
流れ続けるシャワーを浴びても私の心があたたまることはなかった。
彼が眠りに落ちる前につぶやいた言葉にうちのめされていた。
『・・・ミナ・・・』
きっと私は彼にとって都合のいい女になったのだろう。
いつでも抱けて文句ひとついわない女。
恋人から友達への降格。
本当はわかっていたのだ。
何もかも前とは違ってしまっていたのだということを。
→
彼が誰と付き合おうとそれをやめてとは言えない、
要するに彼を束縛することができない、
これが恋人から友達になるということですよね。
もちろんお互いに思いを残していない二人なら本当の意味での友達になることはできるかもしれません。
面倒くさい
2008-03-21
携帯電話が鳴っている。
かなりしつこい。
ああ、うるさいな。
休日はひたすら寝ると決めている。
俺の至福の時間を邪魔する奴は誰だ。
不機嫌マックスで電話に出た。
『レン?今どこ?さっきからずっと映画館の前で待ってるんだけど』
『・・・寝てた』
『えっ、何それ。今日約束してたじゃない』
『してたっけ?』
『ひどーーーい。私どうすればいいわけ?』
『ゴメン、俺、今日パス、気分のらない』
『はあ?最低』
彼女の怒りはさすがに相当なものらしい。
だが俺は彼女ののろいにみちたような声を聞いているうちに
なんだかもうどうでもよくなってしまった。
いいわけする気力もわかない。
どうして俺はこんな女とつきあっているのだろうかとさえ思ってしまった。
★★
翌日日曜日、今度はチャイム攻撃で目が覚めた。
玄関を開けると、スーパーの袋を下げた彼女が騒々しく入ってきた。
パジャマ姿、髪はぼさぼさのままの俺を見て、彼女は苦笑していた。
「もう夕方の4時だよ。まだ寝てたの?」
「俺の趣味は寝ること」
「あいかわらずレンはつまんない男ね。
そんな男においしいご飯作ってあげようとしている私って馬鹿みたい」
彼女は再び苦笑いを浮かべキッチンに向かった。
食後、皿を洗い終えた彼女がソファでテレビをみていた俺の隣に座った。
彼女は俺の腰に手をまわし甘えるように寄り添ってきた。
いつもなら俺はここで彼女を抱き寄せ恋人らしい時間をすごすのだ。
だが今夜はまったくそんな気になれなかった。
「レン、最近冷たいね・・・」
彼女はますます俺に密着してくる。
「いつもと同じだろ?」
「ううん、前はもっと優しかったし、二人の将来のこととかよく話し合ったりしたじゃない」
「将来?」
「一緒に暮らしたいって言ってたじゃない」
「言ってたかもな」
「今は?今はそんな風に思わないの?」
「・・・正直考えてないよ」
彼女は言葉をなくしたようにうろたえた。
「そうか、はっきり言われるとすごいきついんですけど」
彼女は唇をかみしめ泣くのをこらえているようだった。
俺は彼女の腕をやんわりとふりほどき、リモコンボタンを押し誰もみていないTVを消した。
静寂になった室内に彼女のため息がもれた。
「理由は何?私ってやっぱり全然だめ?みんながいうように私とレンとじゃ容姿とかつりあわない?
私のほうが3つも年上だから嫌?」
「・・・俺が・・・お前にふさわしくないんだと思う。ずぼらだし、趣味ないし、
稼ぎだってお前のほうがあるし、養っていくとか結婚するとかそういうことまったく自信ない。
俺のこと待っててくれても期待はずれにさせると思うし、
俺は無理だけど、お前のこと幸せにしてくれる奴必ずいると思う・・・」
俺はいったいごちゃごちゃと何を言っているのだろう。
要するに俺は彼女と別れたいだけなのだろう。
責任とやらを回避して、もっと後腐れなくつきあえるようなお気楽な女を
求めているということだ。
→
年齢とか稼ぎとかそのような理由でさよならしたがるというのは
残念ながら相手への気持ちがないということだと思います。
思いやるということは二人でどんなことも乗り越えてゆくということでもあります。
かなりしつこい。
ああ、うるさいな。
休日はひたすら寝ると決めている。
俺の至福の時間を邪魔する奴は誰だ。
不機嫌マックスで電話に出た。
『レン?今どこ?さっきからずっと映画館の前で待ってるんだけど』
『・・・寝てた』
『えっ、何それ。今日約束してたじゃない』
『してたっけ?』
『ひどーーーい。私どうすればいいわけ?』
『ゴメン、俺、今日パス、気分のらない』
『はあ?最低』
彼女の怒りはさすがに相当なものらしい。
だが俺は彼女ののろいにみちたような声を聞いているうちに
なんだかもうどうでもよくなってしまった。
いいわけする気力もわかない。
どうして俺はこんな女とつきあっているのだろうかとさえ思ってしまった。
★★
翌日日曜日、今度はチャイム攻撃で目が覚めた。
玄関を開けると、スーパーの袋を下げた彼女が騒々しく入ってきた。
パジャマ姿、髪はぼさぼさのままの俺を見て、彼女は苦笑していた。
「もう夕方の4時だよ。まだ寝てたの?」
「俺の趣味は寝ること」
「あいかわらずレンはつまんない男ね。
そんな男においしいご飯作ってあげようとしている私って馬鹿みたい」
彼女は再び苦笑いを浮かべキッチンに向かった。
食後、皿を洗い終えた彼女がソファでテレビをみていた俺の隣に座った。
彼女は俺の腰に手をまわし甘えるように寄り添ってきた。
いつもなら俺はここで彼女を抱き寄せ恋人らしい時間をすごすのだ。
だが今夜はまったくそんな気になれなかった。
「レン、最近冷たいね・・・」
彼女はますます俺に密着してくる。
「いつもと同じだろ?」
「ううん、前はもっと優しかったし、二人の将来のこととかよく話し合ったりしたじゃない」
「将来?」
「一緒に暮らしたいって言ってたじゃない」
「言ってたかもな」
「今は?今はそんな風に思わないの?」
「・・・正直考えてないよ」
彼女は言葉をなくしたようにうろたえた。
「そうか、はっきり言われるとすごいきついんですけど」
彼女は唇をかみしめ泣くのをこらえているようだった。
俺は彼女の腕をやんわりとふりほどき、リモコンボタンを押し誰もみていないTVを消した。
静寂になった室内に彼女のため息がもれた。
「理由は何?私ってやっぱり全然だめ?みんながいうように私とレンとじゃ容姿とかつりあわない?
私のほうが3つも年上だから嫌?」
「・・・俺が・・・お前にふさわしくないんだと思う。ずぼらだし、趣味ないし、
稼ぎだってお前のほうがあるし、養っていくとか結婚するとかそういうことまったく自信ない。
俺のこと待っててくれても期待はずれにさせると思うし、
俺は無理だけど、お前のこと幸せにしてくれる奴必ずいると思う・・・」
俺はいったいごちゃごちゃと何を言っているのだろう。
要するに俺は彼女と別れたいだけなのだろう。
責任とやらを回避して、もっと後腐れなくつきあえるようなお気楽な女を
求めているということだ。
→
年齢とか稼ぎとかそのような理由でさよならしたがるというのは
残念ながら相手への気持ちがないということだと思います。
思いやるということは二人でどんなことも乗り越えてゆくということでもあります。
出会い系で恋をして
2008-03-19
快晴の土曜日。
鏡の中の私は少し緊張気味であった。
メイクは完璧、髪もいい感じ、服装だってばっちりだ。
お気に入りのバッグを持って待ち合わせ場所に向かう。
その噴水の周りには多くの人がいた。
この中に彼はいるのだろうか。
【グレイのバッグを持って黒いジャケットの奴がいたらそれが俺だから】
いた・・・おそらくあの人がメールの彼だ。
私は深呼吸をして、思い切って彼の方をみた。
彼も私に気づいたらしい。
彼はすばやくメールを打っていた。
すぐに私のメールの着メロがなる。
【なっちゃん?】
私は携帯を閉じ、彼のほうを向きこくりとうなずいた。
至近距離で見た彼はプロフィール通り背が高くて細身で
送ってくれた画像よりももっと素敵な人だった。
「なっちゃん、イメージどおりだからすぐわかった」
爽やかな笑顔の彼にドキドキは最高潮に達してしまった。
★★
お洒落なインテリアのお店でランチを取る。
お見合いみたいなやりとりはメールの中で十分にしていたので会話はスムーズだった。
話題豊富な彼にリードされていつもよりにぎやかな私になっていた。
お店を出て彼に手を握られ手をつなぎゆっくりと雑貨屋をひやかし、
おしゃべりを楽しみながら坂道をゆっくりと歩いていた。
目的地に着いたのか、彼は不意に立ち止まる。
私の肩を抱き寄せた。私の耳元で心地の良い低音が響く。
「リアルななっちゃんのほうが全然いいな。もっと知りたい、君のこと。このまま帰したくない」
まるで前からの知り合いのように私の心にすんなりと彼は入り込んできた。
★★
後ろから優しく抱きしめられ「怖い?震えてる」と聞かれた。
「うん」
「私のこと好き?」
「好きだよ。こうして会う前から、メールだけですでになっちゃんの魅力におとされてました。
俺、馬鹿みたいになっちゃんに今夢中です」
私は思わず笑っていた。怖さも薄れたようだ。
静かに私は彼の手に自分の手を重ねた。
「・・あの、私初めてだから・・・」
「わかった、優しくするから」
彼の穏やかな瞳を見ることができてとても嬉しかった。
優しいキスが私を安心させた。
私はきつく目を閉じた。
だんだん激しくなる彼の唇が私の体をそして心を侵略していく。
未知なる世界への扉が開いた。
★★
そして一年が過ぎた。
彼は変わらぬ優しさをくれ時を忘れてむさぼるように愛し合うこともあった。
私たちの恋は順調だったけれど彼は忙しいらしくなかなか会えない日が続いた。
私たちが出会ったサイトを懐かしい気持ちで訪問していた。
男性の方の投稿文をのぞいてみた。
【はじめまして。メールしませんか。スペックは183cm太ってないよ。趣味はスノーボードとサッカーをやること・・・・】
なにこれ?どこかで見た文章だった。
そうだ。彼が私にくれたファーストメールに似ていた。
私はあわてて彼の携帯に電話をかけていた。
残業中だったらしい彼はいつもよりもずっと不機嫌だった。
『何?今会社なんだよ』
『ごめん、仕事中に。・・あの・・』
『どうした?』
『ねえ、また、あのサイトでメル友募集してる?』
『はあ?』
『・・どうしてそんなことしてるの?ひどいじゃない。私のこと遊びなの?
このごろ全然メールくれなくなったし、会える日も少なくなった・・
仕事とか言ってるけど嘘なんでしょ、女の子と会ったりしてるんでしょ?・・』
私はイライラを抑えることができずに思い切り彼に酷い言葉を投げつけていた。
もう止まらない。
彼はしばらく沈黙していたけれど盛大にため息をついた。
『・・ああ、わかったよ、もうそういうことでいいよ。
かわいい子とメールしてなかよくなったら面接してみて好みのタイプなら寝るんだよ。
遊びだろ、出会い系なんだぞ。本気なわけないだろ』
『・・・嘘、信じられない、今までの私とのこと全部が遊びなの?』
『さっきまで本気だった。なっちゃんに会う前の女とは全部遊びだったけど』
『・・だって、投稿してるじゃない、今もあのサイトに』
『俺じゃないよ。似てるプロフの奴なんかいくらだっているだろ』
私はもう一度そのサイトをみた。
その人の住所はよく見ると関西になっていた。
彼ではない。
私は自分のミスを何度もわびた。
嫉妬のあまりわれを忘れてしまったことを謝罪した。
『たとえこんな形で出会ったとしても俺はすくなくとも真剣だったよ
でも、信じることができなくなったらもう終わりだろ』
彼の言葉はさよならと続いた。
そして唐突に電話は切られた。
それっきりメールも電話もつながらなくなった。
ゲームオーバー。
→
ああ、悩ましき出会い系。
その恋信じますか?
鏡の中の私は少し緊張気味であった。
メイクは完璧、髪もいい感じ、服装だってばっちりだ。
お気に入りのバッグを持って待ち合わせ場所に向かう。
その噴水の周りには多くの人がいた。
この中に彼はいるのだろうか。
【グレイのバッグを持って黒いジャケットの奴がいたらそれが俺だから】
いた・・・おそらくあの人がメールの彼だ。
私は深呼吸をして、思い切って彼の方をみた。
彼も私に気づいたらしい。
彼はすばやくメールを打っていた。
すぐに私のメールの着メロがなる。
【なっちゃん?】
私は携帯を閉じ、彼のほうを向きこくりとうなずいた。
至近距離で見た彼はプロフィール通り背が高くて細身で
送ってくれた画像よりももっと素敵な人だった。
「なっちゃん、イメージどおりだからすぐわかった」
爽やかな笑顔の彼にドキドキは最高潮に達してしまった。
★★
お洒落なインテリアのお店でランチを取る。
お見合いみたいなやりとりはメールの中で十分にしていたので会話はスムーズだった。
話題豊富な彼にリードされていつもよりにぎやかな私になっていた。
お店を出て彼に手を握られ手をつなぎゆっくりと雑貨屋をひやかし、
おしゃべりを楽しみながら坂道をゆっくりと歩いていた。
目的地に着いたのか、彼は不意に立ち止まる。
私の肩を抱き寄せた。私の耳元で心地の良い低音が響く。
「リアルななっちゃんのほうが全然いいな。もっと知りたい、君のこと。このまま帰したくない」
まるで前からの知り合いのように私の心にすんなりと彼は入り込んできた。
★★
後ろから優しく抱きしめられ「怖い?震えてる」と聞かれた。
「うん」
「私のこと好き?」
「好きだよ。こうして会う前から、メールだけですでになっちゃんの魅力におとされてました。
俺、馬鹿みたいになっちゃんに今夢中です」
私は思わず笑っていた。怖さも薄れたようだ。
静かに私は彼の手に自分の手を重ねた。
「・・あの、私初めてだから・・・」
「わかった、優しくするから」
彼の穏やかな瞳を見ることができてとても嬉しかった。
優しいキスが私を安心させた。
私はきつく目を閉じた。
だんだん激しくなる彼の唇が私の体をそして心を侵略していく。
未知なる世界への扉が開いた。
★★
そして一年が過ぎた。
彼は変わらぬ優しさをくれ時を忘れてむさぼるように愛し合うこともあった。
私たちの恋は順調だったけれど彼は忙しいらしくなかなか会えない日が続いた。
私たちが出会ったサイトを懐かしい気持ちで訪問していた。
男性の方の投稿文をのぞいてみた。
【はじめまして。メールしませんか。スペックは183cm太ってないよ。趣味はスノーボードとサッカーをやること・・・・】
なにこれ?どこかで見た文章だった。
そうだ。彼が私にくれたファーストメールに似ていた。
私はあわてて彼の携帯に電話をかけていた。
残業中だったらしい彼はいつもよりもずっと不機嫌だった。
『何?今会社なんだよ』
『ごめん、仕事中に。・・あの・・』
『どうした?』
『ねえ、また、あのサイトでメル友募集してる?』
『はあ?』
『・・どうしてそんなことしてるの?ひどいじゃない。私のこと遊びなの?
このごろ全然メールくれなくなったし、会える日も少なくなった・・
仕事とか言ってるけど嘘なんでしょ、女の子と会ったりしてるんでしょ?・・』
私はイライラを抑えることができずに思い切り彼に酷い言葉を投げつけていた。
もう止まらない。
彼はしばらく沈黙していたけれど盛大にため息をついた。
『・・ああ、わかったよ、もうそういうことでいいよ。
かわいい子とメールしてなかよくなったら面接してみて好みのタイプなら寝るんだよ。
遊びだろ、出会い系なんだぞ。本気なわけないだろ』
『・・・嘘、信じられない、今までの私とのこと全部が遊びなの?』
『さっきまで本気だった。なっちゃんに会う前の女とは全部遊びだったけど』
『・・だって、投稿してるじゃない、今もあのサイトに』
『俺じゃないよ。似てるプロフの奴なんかいくらだっているだろ』
私はもう一度そのサイトをみた。
その人の住所はよく見ると関西になっていた。
彼ではない。
私は自分のミスを何度もわびた。
嫉妬のあまりわれを忘れてしまったことを謝罪した。
『たとえこんな形で出会ったとしても俺はすくなくとも真剣だったよ
でも、信じることができなくなったらもう終わりだろ』
彼の言葉はさよならと続いた。
そして唐突に電話は切られた。
それっきりメールも電話もつながらなくなった。
ゲームオーバー。
→
ああ、悩ましき出会い系。
その恋信じますか?
片思いのスクールデイズ
2008-03-18
クラス替えの新学期。
どことなくぎこちない会話を交わす新しいクラスメート。
今日もフジサキマコト君は授業中だというのに堂々と居眠り。
もう引退してしまったけれど彼は私たちサッカー部のエースだった。
試合中グラウンドを駆け抜ける彼の勇姿にマネージャーであった私はいつも
体中が震えるような感動をもらった。
凛々しい制服姿の彼。
入学式に一目惚れした。
神様は片思いの私を不憫におもってくださるのか、彼とは3年間同じクラスだった。
★★
私のランチタイムはいつもしょっぱいのだ。
「マコト!」
ホラ来た。
フジサキ君の彼女サヤカである。
二人分のお弁当を持って隣のクラスからやってくるのだ。
男子たちが彼女に見惚れている。
私はため息と涙ほろり、今日は卵焼きにかかってしまった。
「どうしたの?」友達が心配そうに尋ねる。
「花粉症なの、目とかかゆくて」グスグスと鼻をすすってみせた。
★★
教室のドアをあけようとしたが人の声がする。
この声はサヤカ?いつものおっとりした口調ではない。
相当荒れている様子だ。
「・・・・・勝手ね、いまさら、何言ってるの?・・ずっとサッカー、仲間、友達だったし。
私のことなんてどうだってよかったんだね、マコトは」
ばしっ。この音は平手打ち?フジサキ君ともめてる?
忘れ物を取りにきたドジな私は修羅場に入っていくわけにもいかないので
立ち尽くしていた。
ガタガタとドアが開き泣き顔のサヤカが出てきた。
私に気づくと射抜くような視線をよこし、走り去っていった。
怖いくらいの強いまなざしだった。
いつまでもそこに立っている場合ではないので
のそのそと教室に入った。
フジサキ君は私を見て、少し驚き、困ったような顔をしていた。
「ごめん、大変なときに入ってきちゃって。忘れ物取りにきただけだから」
私はあわてて机の中の置きっぱなしになっていたプリントを鞄につめた。
急いで教室から出ようとする私を彼が呼び止めた。
「マネージャー、いつから聞いてた?」
「えっ・・えと、勝手だとかサッカーとか仲間とかが聞こえちゃったかな・・」
「そっか」彼はほっとしたような笑顔を浮かべた。
「フジサキ君、サヤカ追いかけなくていいの?」
「いいよ、あいつさ、俺といると怒ってばかりでドンドン不細工になっていくんだよ。
サッカーばかりやってる俺が嫌いとか言われたらどうしょうもないじゃん。
俺じゃだめなんだろうな」
「それは違うよ。きっとフジサキ君のこと好きすぎてどんなことにも嫉妬しちゃうんだよ。
サッカーとか友達とかいろんなことに」
「・・・嫉妬か・・でも、俺は好きな奴が夢中になってるものがあるなら応援したいと思うな」
「そうだね。一生懸命な姿見てるだけで幸せになれるもんね」
彼は満足そうに微笑んだ。
その顔が眩しすぎて私はうつむいた。
「・・・マネージャー」
「うん?」
「これからも俺のことみててくれるか?」
私はびっくりして顔を上げた。
「俺さっき、サヤカに好きな子がいるっていったんだよ。だから別れて欲しいって言った」
「・・・フジサキ君・・・」
私の頭脳は珍しく大回転を始めていた。
どういうこと?
コノヒトハナニヲイッテイルノ?
私とフジサキ君の距離は何万光年もあるはずじゃないか。
「マネージャー・・・俺はお前のことが好きだ」
夕陽が私に彼に教室の放課後に降り注いだ。
→
甘酸っぱい青春時代。
後悔のない毎日を生きてください。
どことなくぎこちない会話を交わす新しいクラスメート。
今日もフジサキマコト君は授業中だというのに堂々と居眠り。
もう引退してしまったけれど彼は私たちサッカー部のエースだった。
試合中グラウンドを駆け抜ける彼の勇姿にマネージャーであった私はいつも
体中が震えるような感動をもらった。
凛々しい制服姿の彼。
入学式に一目惚れした。
神様は片思いの私を不憫におもってくださるのか、彼とは3年間同じクラスだった。
★★
私のランチタイムはいつもしょっぱいのだ。
「マコト!」
ホラ来た。
フジサキ君の彼女サヤカである。
二人分のお弁当を持って隣のクラスからやってくるのだ。
男子たちが彼女に見惚れている。
私はため息と涙ほろり、今日は卵焼きにかかってしまった。
「どうしたの?」友達が心配そうに尋ねる。
「花粉症なの、目とかかゆくて」グスグスと鼻をすすってみせた。
★★
教室のドアをあけようとしたが人の声がする。
この声はサヤカ?いつものおっとりした口調ではない。
相当荒れている様子だ。
「・・・・・勝手ね、いまさら、何言ってるの?・・ずっとサッカー、仲間、友達だったし。
私のことなんてどうだってよかったんだね、マコトは」
ばしっ。この音は平手打ち?フジサキ君ともめてる?
忘れ物を取りにきたドジな私は修羅場に入っていくわけにもいかないので
立ち尽くしていた。
ガタガタとドアが開き泣き顔のサヤカが出てきた。
私に気づくと射抜くような視線をよこし、走り去っていった。
怖いくらいの強いまなざしだった。
いつまでもそこに立っている場合ではないので
のそのそと教室に入った。
フジサキ君は私を見て、少し驚き、困ったような顔をしていた。
「ごめん、大変なときに入ってきちゃって。忘れ物取りにきただけだから」
私はあわてて机の中の置きっぱなしになっていたプリントを鞄につめた。
急いで教室から出ようとする私を彼が呼び止めた。
「マネージャー、いつから聞いてた?」
「えっ・・えと、勝手だとかサッカーとか仲間とかが聞こえちゃったかな・・」
「そっか」彼はほっとしたような笑顔を浮かべた。
「フジサキ君、サヤカ追いかけなくていいの?」
「いいよ、あいつさ、俺といると怒ってばかりでドンドン不細工になっていくんだよ。
サッカーばかりやってる俺が嫌いとか言われたらどうしょうもないじゃん。
俺じゃだめなんだろうな」
「それは違うよ。きっとフジサキ君のこと好きすぎてどんなことにも嫉妬しちゃうんだよ。
サッカーとか友達とかいろんなことに」
「・・・嫉妬か・・でも、俺は好きな奴が夢中になってるものがあるなら応援したいと思うな」
「そうだね。一生懸命な姿見てるだけで幸せになれるもんね」
彼は満足そうに微笑んだ。
その顔が眩しすぎて私はうつむいた。
「・・・マネージャー」
「うん?」
「これからも俺のことみててくれるか?」
私はびっくりして顔を上げた。
「俺さっき、サヤカに好きな子がいるっていったんだよ。だから別れて欲しいって言った」
「・・・フジサキ君・・・」
私の頭脳は珍しく大回転を始めていた。
どういうこと?
コノヒトハナニヲイッテイルノ?
私とフジサキ君の距離は何万光年もあるはずじゃないか。
「マネージャー・・・俺はお前のことが好きだ」
夕陽が私に彼に教室の放課後に降り注いだ。
→
甘酸っぱい青春時代。
後悔のない毎日を生きてください。
結婚幻想
2008-03-17
連れて行かれた先は海辺の小さな教会。
太陽の光を浴びたステンドグラス、咲き誇る花の香り。
他には誰もいないようだ。二人きりだった。
「二人でここに来るの夢だった」
マリア様みたいだなと言ってやればサヨは喜ぶのかもしれないとふと思った。
「ダイチとこれからもずっと一緒にいたい。お嫁さんにして?」
サヨは俺の唇がイエスと形作るのを待っているみたいだった。
「そういうの苦手。俺がだれとも結婚するつもりなんかないの、知ってるだろ?」
聖母みたいなサヨの顔はみるみるうちに歪んでいった。
「嘘、だって、他の子とは遊びかもしれないけれど私とはちゃんと・・・」
「ちゃんと?俺はいつでも誰にでもこんな感じだよ」
「・・・どうしてそんな酷いこと言うの?私たち5年もつきあってるのに」
「そんなの何の関係もないだろ?長くつきあうと結婚になるのか?
それはサヨが勝手に思っていることにすぎない」
俺の言葉は彼女の心を切り裂く。
サヨは心底絶望したように両手で顔を覆った。
「嫌だ、そんなのいやあ!!!!!」
サヨはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
静かな礼拝堂の中でサヨの泣き叫ぶ声がこだました。
俺が悪いのか?
俺は十字架に吊るされた神子の姿を仰ぎ見ていた。
→ 女性の皆さんのため息が聞こえそうですね。
確かに彼が言うように、
何年もつきあう→ラブラブの恋人同士→結婚
という流れは当然のことではないですよね。
彼と結婚したいのか、それとも彼と一緒にいるだけでいいのか、
よく考えなければいけないのかもしれませんね。
太陽の光を浴びたステンドグラス、咲き誇る花の香り。
他には誰もいないようだ。二人きりだった。
「二人でここに来るの夢だった」
マリア様みたいだなと言ってやればサヨは喜ぶのかもしれないとふと思った。
「ダイチとこれからもずっと一緒にいたい。お嫁さんにして?」
サヨは俺の唇がイエスと形作るのを待っているみたいだった。
「そういうの苦手。俺がだれとも結婚するつもりなんかないの、知ってるだろ?」
聖母みたいなサヨの顔はみるみるうちに歪んでいった。
「嘘、だって、他の子とは遊びかもしれないけれど私とはちゃんと・・・」
「ちゃんと?俺はいつでも誰にでもこんな感じだよ」
「・・・どうしてそんな酷いこと言うの?私たち5年もつきあってるのに」
「そんなの何の関係もないだろ?長くつきあうと結婚になるのか?
それはサヨが勝手に思っていることにすぎない」
俺の言葉は彼女の心を切り裂く。
サヨは心底絶望したように両手で顔を覆った。
「嫌だ、そんなのいやあ!!!!!」
サヨはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
静かな礼拝堂の中でサヨの泣き叫ぶ声がこだました。
俺が悪いのか?
俺は十字架に吊るされた神子の姿を仰ぎ見ていた。
→ 女性の皆さんのため息が聞こえそうですね。
確かに彼が言うように、
何年もつきあう→ラブラブの恋人同士→結婚
という流れは当然のことではないですよね。
彼と結婚したいのか、それとも彼と一緒にいるだけでいいのか、
よく考えなければいけないのかもしれませんね。
愛しい人
2008-03-15
しゅわしゅわの泡のたつカクテルで乾杯した。
私のハートもドクドクとうるさいくらいだ。
カウンターに座る私の隣には27歳になった彼がいた。
同窓会、元彼との再会。
二次会はパスして彼についていく。
お約束のような展開は私を幸せな気持ちへと導いた。
「あれから10年もたったのか」
髪は昔よりすこし短くなっていたけれどあいかわらず羨ましいくらいサラサラだった。
触れてみたいとそう思った。
髪に触れたら彼の心と対話できるかもしれないと思った。
前髪をかきあげるしぐさがやけにセクシーで確かに10年たったのだと思った。
女心を無意識にかき乱す無邪気で鈍感な爽やか少年はもうどこにもいない。
しなやかなその指先で優しく激しく私に触れて欲しいとそう願った。
グラスを重ね、思い出話を繰り返す。
もう会えないかもしれない、最後かもしれない貴重な時間がすぎていった。
「出ようか、ここ」
彼は伝票を持ちまっすぐに私をみつめた。
シンデレラならあわててガラスの靴を片方落として走り去らなければいけない時間だ。
制服を着ていた頃の二人のように自然に手をつなぎながら夜の街を歩いた。
もうすぐ終わるのだ、彼と一緒にいることができる夢のような時間は
ピリオドをうつのだ。
あの日もこんなふうにそれぞれの家へと向かう分かれ道に立っていた。
きっとこのあと「じゃあな」と言って、あの日のように振り向きもせず行ってしまうのだ。
残された私は彼の姿が見えなくなるまでみじろぎもせずその場に立ち止まるのだ。
どんなに思っても片思いなのだとおもいしらされたあの日。
何年たっても私だけが彼を好きで彼にとっては私は少し仲良しの女友達にすぎないのだろう。
17歳の夏の日。
彼が風のように奪っていった私のファーストキス。
恥ずかしくて顔をあげられない私とは対照的に彼はにこにこ笑っていた。
「ドキドキした?」などとのんきな言葉を発していた彼。
思い出はいつでも綺麗で私の時は止まったままだった。
せめて今夜だけは彼とつりあうようなかっこいい女でいたい。
私のほうからスマートにさよならと言おう。
「・・じゃあ、ここで・・・」
私の台詞は途中でさえぎられた。
ふいに彼に抱きしめられた。
「帰すわけないだろ。あの夜、俺がお前と過ごしていたらこんなふうに10年も離れ離れでいることなかったんだろ?もう後悔したくない」
→
女にも勝負時があるのです。
どうしても帰りたくないそんな一夜があるのです。
好きならどうか遠回りしないで。
私のハートもドクドクとうるさいくらいだ。
カウンターに座る私の隣には27歳になった彼がいた。
同窓会、元彼との再会。
二次会はパスして彼についていく。
お約束のような展開は私を幸せな気持ちへと導いた。
「あれから10年もたったのか」
髪は昔よりすこし短くなっていたけれどあいかわらず羨ましいくらいサラサラだった。
触れてみたいとそう思った。
髪に触れたら彼の心と対話できるかもしれないと思った。
前髪をかきあげるしぐさがやけにセクシーで確かに10年たったのだと思った。
女心を無意識にかき乱す無邪気で鈍感な爽やか少年はもうどこにもいない。
しなやかなその指先で優しく激しく私に触れて欲しいとそう願った。
グラスを重ね、思い出話を繰り返す。
もう会えないかもしれない、最後かもしれない貴重な時間がすぎていった。
「出ようか、ここ」
彼は伝票を持ちまっすぐに私をみつめた。
シンデレラならあわててガラスの靴を片方落として走り去らなければいけない時間だ。
制服を着ていた頃の二人のように自然に手をつなぎながら夜の街を歩いた。
もうすぐ終わるのだ、彼と一緒にいることができる夢のような時間は
ピリオドをうつのだ。
あの日もこんなふうにそれぞれの家へと向かう分かれ道に立っていた。
きっとこのあと「じゃあな」と言って、あの日のように振り向きもせず行ってしまうのだ。
残された私は彼の姿が見えなくなるまでみじろぎもせずその場に立ち止まるのだ。
どんなに思っても片思いなのだとおもいしらされたあの日。
何年たっても私だけが彼を好きで彼にとっては私は少し仲良しの女友達にすぎないのだろう。
17歳の夏の日。
彼が風のように奪っていった私のファーストキス。
恥ずかしくて顔をあげられない私とは対照的に彼はにこにこ笑っていた。
「ドキドキした?」などとのんきな言葉を発していた彼。
思い出はいつでも綺麗で私の時は止まったままだった。
せめて今夜だけは彼とつりあうようなかっこいい女でいたい。
私のほうからスマートにさよならと言おう。
「・・じゃあ、ここで・・・」
私の台詞は途中でさえぎられた。
ふいに彼に抱きしめられた。
「帰すわけないだろ。あの夜、俺がお前と過ごしていたらこんなふうに10年も離れ離れでいることなかったんだろ?もう後悔したくない」
→
女にも勝負時があるのです。
どうしても帰りたくないそんな一夜があるのです。
好きならどうか遠回りしないで。
自惚れ男
2008-03-13
合コンで知り合った女とお気楽な会話を交わし適当に口説いて一晩過ごした。
帰り際、「彼女いるの?」と聞かれた。
「いねーよ」
「じゃあ、うちらつきあっちゃわない?」
「やめとく。めんどうー」
「つめーーたーーい」
名前もわからない女が泣きまねをした。
うぜー、俺は女に聞こえないようにつぶやいた。
誰にも束縛されたくない。
家に帰るとソファでほのかが寝ていた。
冷蔵庫をあけるとラップのかかった料理が入っていた。
ミネラルウオーターを飲み、シャワーを浴びて浴室を出るとほのかが起きていた。
「朝ご飯食べる?とうや?」俺をみてすこしはにかむ。
「いらね、俺、寝るから」
「そうか。じゃあ、私、帰るね。よかったらあとでご飯食べて」
「ああ」
玄関へと向かうほのかはくるりと振り向き俺をみつめた。
「うん?」
「とうや、これで最後だから。もう来ないから。いままでうるさくてごめんね」
ほのかは無理やりの笑顔をつくり俺の部屋の合鍵を返してきた。
いつものほのかの優しいコロンの香りがした。
「な・・なんだよ、突然に」
「・・・とうやにとって私は必要な存在じゃないでしょ?」
「はあ?」
「好きだって言ってくれた人がいるの、私だけをみてくれるって・・」
ほのかの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「・・・そうかよ」こんなときどんな言葉をかければいいというのか。
「うん・・・」
ほのかは俺のそっけない態度に失望したのか悲しそうに顔をゆがめて
涙をぬぐおうともせず逃げるように去っていった。
俺は合鍵を乱暴に窓に投げつけていた。
どんなことを言ってもどんな仕打ちをほのかにしても
彼女だけは俺から離れていかないだろうと思っていた。
朝がえりをくりかえすようなこんな俺の世話をやき、
楽しそうに料理を作り、
わがままな俺の欲望を受け入れ、
とうやが傍にいてくれるだけで私はとても幸せだからとそう繰り返していたほのか。
好きとか愛しているとか正直そういう感情は俺にはよくわからない。
俺にはどこか欠落しているものがあるのだろう。
俺は冷たい床に座り込んでいた。
夕暮れが俺を包む頃
俺はとても大切な何かを失ったのだということだけはわかった。
→
今ならまだ間に合いますぞ!
彼女を追いかけて。
でも、今度は人生を共にする覚悟でいきなされよ!
プロポーズぐらいしてきなされ!
帰り際、「彼女いるの?」と聞かれた。
「いねーよ」
「じゃあ、うちらつきあっちゃわない?」
「やめとく。めんどうー」
「つめーーたーーい」
名前もわからない女が泣きまねをした。
うぜー、俺は女に聞こえないようにつぶやいた。
誰にも束縛されたくない。
家に帰るとソファでほのかが寝ていた。
冷蔵庫をあけるとラップのかかった料理が入っていた。
ミネラルウオーターを飲み、シャワーを浴びて浴室を出るとほのかが起きていた。
「朝ご飯食べる?とうや?」俺をみてすこしはにかむ。
「いらね、俺、寝るから」
「そうか。じゃあ、私、帰るね。よかったらあとでご飯食べて」
「ああ」
玄関へと向かうほのかはくるりと振り向き俺をみつめた。
「うん?」
「とうや、これで最後だから。もう来ないから。いままでうるさくてごめんね」
ほのかは無理やりの笑顔をつくり俺の部屋の合鍵を返してきた。
いつものほのかの優しいコロンの香りがした。
「な・・なんだよ、突然に」
「・・・とうやにとって私は必要な存在じゃないでしょ?」
「はあ?」
「好きだって言ってくれた人がいるの、私だけをみてくれるって・・」
ほのかの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「・・・そうかよ」こんなときどんな言葉をかければいいというのか。
「うん・・・」
ほのかは俺のそっけない態度に失望したのか悲しそうに顔をゆがめて
涙をぬぐおうともせず逃げるように去っていった。
俺は合鍵を乱暴に窓に投げつけていた。
どんなことを言ってもどんな仕打ちをほのかにしても
彼女だけは俺から離れていかないだろうと思っていた。
朝がえりをくりかえすようなこんな俺の世話をやき、
楽しそうに料理を作り、
わがままな俺の欲望を受け入れ、
とうやが傍にいてくれるだけで私はとても幸せだからとそう繰り返していたほのか。
好きとか愛しているとか正直そういう感情は俺にはよくわからない。
俺にはどこか欠落しているものがあるのだろう。
俺は冷たい床に座り込んでいた。
夕暮れが俺を包む頃
俺はとても大切な何かを失ったのだということだけはわかった。
→
今ならまだ間に合いますぞ!
彼女を追いかけて。
でも、今度は人生を共にする覚悟でいきなされよ!
プロポーズぐらいしてきなされ!
体だけなの?
2008-03-12
お互い楽しんだろ?
数時間前に情熱的なキスを私にくれた彼の形の良い唇がそう告げた。
煙草を吸いながらけだるそうに私をみていた。
残酷な言葉に私は言葉もなかった。
「こういうのは嫌なんだろう?」
彼は煙草を消し私を引き寄せ乱暴に押し倒した。
「・・・嫌、もう、嫌だ。抱くだけ抱いて何もくれないくせに。
あなたは私を好きじゃない、愛してない、遊びなんでしょ」
「お前がそう思うなら遊びなのかもな」
彼は私を拘束する力をゆるめた。
私はのろのろと起き上がり彼と向き合った。
「心も欲しい、好きだと言って欲しい・・・」
「よくばりだな」と彼は少し笑い彼の指が私の髪に、頬に、そして首筋に触れた。
「もうやめよう。俺さ、お前が欲しいものがよくわからないんだよ
体より心か。だったらどうでもいいほうの体を俺に差し出して
それで大切な方の心をくれっていうのって矛盾してない?」
こんなときにも彼はとても冷静だった。
彼女がいたクールな彼を好きになってその女性から奪い取り
いつか愛してくれるのかもしれないと彼の部屋に押しかけ通い続けたのは私のほうだった。
【私の体をあげるんだからそのかわりあなたは私に心をください】
なんて私は傲慢なんだろうか。
本当にそうだ。
彼の言葉通りお互い楽しんでいたのだ。
彼の本音を聞くのが怖くてしっかりと向き合おうとしなかった。
彼をベッドに誘いごまかしていたのは私のほうだったのだ。
→
うーん、ビターですね。
でも体から始まる愛もありますよ。
お互いを大切に思い、二人で育てていくという意識があれば可能だと思います。
数時間前に情熱的なキスを私にくれた彼の形の良い唇がそう告げた。
煙草を吸いながらけだるそうに私をみていた。
残酷な言葉に私は言葉もなかった。
「こういうのは嫌なんだろう?」
彼は煙草を消し私を引き寄せ乱暴に押し倒した。
「・・・嫌、もう、嫌だ。抱くだけ抱いて何もくれないくせに。
あなたは私を好きじゃない、愛してない、遊びなんでしょ」
「お前がそう思うなら遊びなのかもな」
彼は私を拘束する力をゆるめた。
私はのろのろと起き上がり彼と向き合った。
「心も欲しい、好きだと言って欲しい・・・」
「よくばりだな」と彼は少し笑い彼の指が私の髪に、頬に、そして首筋に触れた。
「もうやめよう。俺さ、お前が欲しいものがよくわからないんだよ
体より心か。だったらどうでもいいほうの体を俺に差し出して
それで大切な方の心をくれっていうのって矛盾してない?」
こんなときにも彼はとても冷静だった。
彼女がいたクールな彼を好きになってその女性から奪い取り
いつか愛してくれるのかもしれないと彼の部屋に押しかけ通い続けたのは私のほうだった。
【私の体をあげるんだからそのかわりあなたは私に心をください】
なんて私は傲慢なんだろうか。
本当にそうだ。
彼の言葉通りお互い楽しんでいたのだ。
彼の本音を聞くのが怖くてしっかりと向き合おうとしなかった。
彼をベッドに誘いごまかしていたのは私のほうだったのだ。
→
うーん、ビターですね。
でも体から始まる愛もありますよ。
お互いを大切に思い、二人で育てていくという意識があれば可能だと思います。
あなたを連れ去りたい
2008-03-10
春爛漫、年上のあなたと出会った瞬間、俺は恋に落ちた。
桜の花と戯れているあなたはとても綺麗だった。
それは桜がみせた幻想だったのかもしれない。
あなたの白い華奢な指にはプラチナリングがあった。
「はずせよ、それやだ」
俺はまるで子どものようだった。
あなたは少し困ったような顔をしたけれど決心したように指輪をはずした。
俺はまるで二度と離さないとでもいうかのようにあなたを強く抱きしめた。
時間が止まればいい。
永遠にあなたをこの腕の中に閉じ込めておきたい。
あなたは家で嘘ばかりつくようになったと俺に言った。
笑ってはいたけれど酷くつらそうな顔をするようになった。
「出てくるの大変なんだろ?無理してるよね?」
「・・うん・・でも、会いたいから・・・」
★★
朝目覚めたらあなたがいた。
俺は幸せというものを実感していた。
何度も夢みた光景だった。
最大級の無理をさせて実現させた旅行
何度も好きと繰り返し
ワインで乾杯し
唇に感じるあなたの吐息。
飛び切りの笑顔で俺の心を揺さぶるあなた。
あなたといると溺れそうだ。
もう何もいらない。
あなただけが欲しかった。
御伽噺のような街並みを
煌く大地を
輝く空を
悠久の海を
あなたと歩いたこの道を俺は一生忘れないだろう。
帰りの駅で別れ際、
「じゃあまた、メールするよ」
俺はいつものようにそう言った。
「ありがとう」とつぶやき、あなたは軽く俺に手をふった。
俺は下手なウインクをしてみせた。
そしてそれきりあなたは俺の前から消えた。
風の噂であなたの夫が外国に転勤になったときいた。
あれから何年たったのか。
こうして今年もあの桜の樹の前に立っていた。
ひとひらの花びらが俺の手の平にはらりと落ちた。
それはまるであなたのようにはかなく美しい。
ありがとう
彼女の最後の言葉がリフレインした。
→
二人の恋は幻ではないですよね。
そこには確かな愛が存在していたはずです。
彼女の心の中にはいまでもあなたがいるはずです。
桜の花と戯れているあなたはとても綺麗だった。
それは桜がみせた幻想だったのかもしれない。
あなたの白い華奢な指にはプラチナリングがあった。
「はずせよ、それやだ」
俺はまるで子どものようだった。
あなたは少し困ったような顔をしたけれど決心したように指輪をはずした。
俺はまるで二度と離さないとでもいうかのようにあなたを強く抱きしめた。
時間が止まればいい。
永遠にあなたをこの腕の中に閉じ込めておきたい。
あなたは家で嘘ばかりつくようになったと俺に言った。
笑ってはいたけれど酷くつらそうな顔をするようになった。
「出てくるの大変なんだろ?無理してるよね?」
「・・うん・・でも、会いたいから・・・」
★★
朝目覚めたらあなたがいた。
俺は幸せというものを実感していた。
何度も夢みた光景だった。
最大級の無理をさせて実現させた旅行
何度も好きと繰り返し
ワインで乾杯し
唇に感じるあなたの吐息。
飛び切りの笑顔で俺の心を揺さぶるあなた。
あなたといると溺れそうだ。
もう何もいらない。
あなただけが欲しかった。
御伽噺のような街並みを
煌く大地を
輝く空を
悠久の海を
あなたと歩いたこの道を俺は一生忘れないだろう。
帰りの駅で別れ際、
「じゃあまた、メールするよ」
俺はいつものようにそう言った。
「ありがとう」とつぶやき、あなたは軽く俺に手をふった。
俺は下手なウインクをしてみせた。
そしてそれきりあなたは俺の前から消えた。
風の噂であなたの夫が外国に転勤になったときいた。
あれから何年たったのか。
こうして今年もあの桜の樹の前に立っていた。
ひとひらの花びらが俺の手の平にはらりと落ちた。
それはまるであなたのようにはかなく美しい。
ありがとう
彼女の最後の言葉がリフレインした。
→
二人の恋は幻ではないですよね。
そこには確かな愛が存在していたはずです。
彼女の心の中にはいまでもあなたがいるはずです。
そのひとことが言えない
2008-03-10
失恋してからというものもう何年も恋とは無縁の私は心配性の友達に
合コンとやらに引っ張り出された。
いつのまにやら即席カップルができているようだ。
そのノリについていけず私は上手に笑ってみることもとっくにあきらめ
孤独モードを愛する猫のようになっていた。
「・・・ここ抜けない?」
サラサラの黒髪と切れ長の瞳の持ち主が微笑んでいた。
私は甘すぎる偽カクテルをそっとテーブルに置いて彼をみつめ首を縦にふっていた。
こぎれいなバーで今度は本格的なお酒に酔いしれた。
彼のはなしはおもしろく私となかなか趣味が合うこともわかった。
彼に手をひかれ、いつのまにかタクシーに乗せられ彼の部屋に来ていた。
「ギター弾くの?」
「ああ、バンドやってるんだよ。さっきのやつらと」
「・・・かっこいいね」
ソファに座っている私の肩を抱き寄せ
「みなとちゃんは綺麗だね」と囁いた。
それが合図、かすかに香る彼の香り。
今日はじめて会った男の部屋にあがり
つかの間のぬくもりを求めて彼との夜を過ごす。
全てはこの香りのせいなのだろう。
忘れたはずのあの人と同じ香水は私の理性を狂わせるには十分だった。
★★
半年が過ぎた。
穏やかな風ときらめく太陽の中、私は遠くの海をみていた。
「何考えてる?みなとは時々そんなふうな目をしているな」
「そう?ぼっとしてるだけ、きっと」
彼は変わらぬ優しさを私にくれるけれども私は自分の気持ちを何一つ
彼に告げていない。
私はこうして指摘されるようにいまだに薄れゆくあの人の面影を
追っているとでもいうのだろうか。
「俺たちさ、いつになったら本物になれるんだろう?」
彼は寂しそうな表情をした。
「本物?」
「俺は誰の代わり?」
「ち、ちがう・・・」
私は涙をこぼしていた。
ふいに蘇るあの人の言葉。
心変わりをして私ではない女性を選んだあの人。
【みなと、お前、俺のこと好きだとか言わなかったよな。
結構寂しかったよ、
お前の気持ち全然わからなくて。
だから甘えてくれる奴のほうがかわいかったんだ】
私はまた大切な人を失うのだろうか。
うまく言葉にできずに私は沈黙してしまった。
甘えるのが下手で素直になれない。
ひとことでいいのだ。
好きだと、愛してるとそう言えばいいのだ。
「泣かないで。もういいから、ごめん、変なこと言ったな、俺」
「・・・ごめん、あやまるのは私のほう」
私は彼のシャツのすそをつかみ、彼に抱きついていた。
彼は私の髪に触れた。
「俺はみなとのことしか考えてない」
「私もそうだよ。好き・・好きなのはあなただけだから」
→
想いは言葉にして形にして意識して伝えていかないとすれ違うことが多くなりますね。
合コンとやらに引っ張り出された。
いつのまにやら即席カップルができているようだ。
そのノリについていけず私は上手に笑ってみることもとっくにあきらめ
孤独モードを愛する猫のようになっていた。
「・・・ここ抜けない?」
サラサラの黒髪と切れ長の瞳の持ち主が微笑んでいた。
私は甘すぎる偽カクテルをそっとテーブルに置いて彼をみつめ首を縦にふっていた。
こぎれいなバーで今度は本格的なお酒に酔いしれた。
彼のはなしはおもしろく私となかなか趣味が合うこともわかった。
彼に手をひかれ、いつのまにかタクシーに乗せられ彼の部屋に来ていた。
「ギター弾くの?」
「ああ、バンドやってるんだよ。さっきのやつらと」
「・・・かっこいいね」
ソファに座っている私の肩を抱き寄せ
「みなとちゃんは綺麗だね」と囁いた。
それが合図、かすかに香る彼の香り。
今日はじめて会った男の部屋にあがり
つかの間のぬくもりを求めて彼との夜を過ごす。
全てはこの香りのせいなのだろう。
忘れたはずのあの人と同じ香水は私の理性を狂わせるには十分だった。
★★
半年が過ぎた。
穏やかな風ときらめく太陽の中、私は遠くの海をみていた。
「何考えてる?みなとは時々そんなふうな目をしているな」
「そう?ぼっとしてるだけ、きっと」
彼は変わらぬ優しさを私にくれるけれども私は自分の気持ちを何一つ
彼に告げていない。
私はこうして指摘されるようにいまだに薄れゆくあの人の面影を
追っているとでもいうのだろうか。
「俺たちさ、いつになったら本物になれるんだろう?」
彼は寂しそうな表情をした。
「本物?」
「俺は誰の代わり?」
「ち、ちがう・・・」
私は涙をこぼしていた。
ふいに蘇るあの人の言葉。
心変わりをして私ではない女性を選んだあの人。
【みなと、お前、俺のこと好きだとか言わなかったよな。
結構寂しかったよ、
お前の気持ち全然わからなくて。
だから甘えてくれる奴のほうがかわいかったんだ】
私はまた大切な人を失うのだろうか。
うまく言葉にできずに私は沈黙してしまった。
甘えるのが下手で素直になれない。
ひとことでいいのだ。
好きだと、愛してるとそう言えばいいのだ。
「泣かないで。もういいから、ごめん、変なこと言ったな、俺」
「・・・ごめん、あやまるのは私のほう」
私は彼のシャツのすそをつかみ、彼に抱きついていた。
彼は私の髪に触れた。
「俺はみなとのことしか考えてない」
「私もそうだよ。好き・・好きなのはあなただけだから」
→
想いは言葉にして形にして意識して伝えていかないとすれ違うことが多くなりますね。
コンビニラブ
2008-03-07
いらっしゃいませ!
深夜のコンビニに響き渡る彼の声。
ポケットにはネームプレート。
長身細身、黒髪の小顔。
向井君は本日も綺麗な営業スマイルを浮かべていた。
他に客はいなかった。
私はいつものように無糖の缶コーヒーとサンドイッチをレジに差し出した。
レシートと釣銭を渡される。
毎日のように繰り返される私と彼とのやりとり。
もう一年くらいになるだろう。
店員と客。
そんなあたりまえのことでさえ、私の胸は高鳴ってしまうのだ。
私が店を出ようとすると彼に呼び止められた。
「あの、俺、今週一杯でここ辞めるんです」
「えっ?」
初めて交わした会話が別れの言葉なのか。
私はひどく動揺していた。
「それで、もう、お客さんとは会えないかもしれないので・・・」
彼はまっすぐに私をみつめ少し照れたように笑った。
「・・・・・・」
「すみません、呼び止めてしまって。なんか、俺、何言ってんだろう・・」
「・・・ああ、ううん、寂しくなる・・」
私はつい本音を吐いてしまっていた。
「本当ですか!」
彼は少し驚いたように私を見て、あわてたようにレジから出てきた。
「あの・・・メ・・メル・・メルアド教えてもらえませんか?」
彼は真っ赤になってブルーの携帯をポケットから出して私に向けた。
私もがちがちに固まってしまいながらも機械仕掛けの人形のように
自分の携帯を彼に差し出していた。
通信完了。お互いのデータが送信された。
彼はすばやくメールを打っている。
すぐに私の着メロがなった。
私はメールを開いた。
【ずっと憧れてました。毎日メールしていいですか。慧】
おそらく私の顔は熟したトマト色に変わっていただろう。
「け・・い君?」
「はい」
私はそのメールに返信した。
【嬉しいよ。俺もずっと君を見てたから・・】
→
好きになったら性別なんてそんなの関係ないですよね。
深夜のコンビニに響き渡る彼の声。
ポケットにはネームプレート。
長身細身、黒髪の小顔。
向井君は本日も綺麗な営業スマイルを浮かべていた。
他に客はいなかった。
私はいつものように無糖の缶コーヒーとサンドイッチをレジに差し出した。
レシートと釣銭を渡される。
毎日のように繰り返される私と彼とのやりとり。
もう一年くらいになるだろう。
店員と客。
そんなあたりまえのことでさえ、私の胸は高鳴ってしまうのだ。
私が店を出ようとすると彼に呼び止められた。
「あの、俺、今週一杯でここ辞めるんです」
「えっ?」
初めて交わした会話が別れの言葉なのか。
私はひどく動揺していた。
「それで、もう、お客さんとは会えないかもしれないので・・・」
彼はまっすぐに私をみつめ少し照れたように笑った。
「・・・・・・」
「すみません、呼び止めてしまって。なんか、俺、何言ってんだろう・・」
「・・・ああ、ううん、寂しくなる・・」
私はつい本音を吐いてしまっていた。
「本当ですか!」
彼は少し驚いたように私を見て、あわてたようにレジから出てきた。
「あの・・・メ・・メル・・メルアド教えてもらえませんか?」
彼は真っ赤になってブルーの携帯をポケットから出して私に向けた。
私もがちがちに固まってしまいながらも機械仕掛けの人形のように
自分の携帯を彼に差し出していた。
通信完了。お互いのデータが送信された。
彼はすばやくメールを打っている。
すぐに私の着メロがなった。
私はメールを開いた。
【ずっと憧れてました。毎日メールしていいですか。慧】
おそらく私の顔は熟したトマト色に変わっていただろう。
「け・・い君?」
「はい」
私はそのメールに返信した。
【嬉しいよ。俺もずっと君を見てたから・・】
→
好きになったら性別なんてそんなの関係ないですよね。
風変わりな彼女
2008-03-05
今月は後頭部がやたらと盛り上がった金髪にピアスだ。
化粧もしているようだ。
先月はもう少しおとなしめの茶髪だった。
その前はFF7の主人公みたいな髪型をしていた。
彼女はカメレオン。
俺はイヤフォンで音楽を聴きながら、
文庫本を読みつつさきほど乗ってきた彼女をさりげなく観察していた。
同時刻いつも同じ車両に乗ってくる女子高生。
大きな黒い目と桜色の唇とそしてそばかすがかわいい。
彼女もよく本を読んでいた。
カバーはかけていない。
今朝はルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインときたか。
哲学とか心理学とかがどうやらお好みらしい。
俺と彼女の降りる駅は同じだ。
彼女は高校へ俺は大学へそれぞれ向かうのだ。
予想通り新しい彼氏?らしき男が駅で彼女を待っていた。
金髪にピアスの男だった。
茶髪の男とは別れたのだろう。
★★
あれから半年が過ぎていた。
彼女の髪はストレートの黒髪になっていた。
このパターンは意外にも初めてみるが
よく似合っているのではないかと思う。
そしてノンフレームのめがね、
彼女も今朝は音楽を聞いているらしい。
耳にはイヤフォン。
ピアスも化粧もしていない。
今朝は数学の参考書に目を通していた。
テスト期間なのかもしれない。
駅に着き、俺と彼女は下車した。
俺は彼女の後ろをゆっくりと歩いていた。
不意に彼女が振り返った。
「あの・・・」彼女はにっこりと微笑んだ。
俺はいつものクールといわれ続けている得意の表情をつくることができずにいた。
みっともなくうろたえていた。不意打ちの彼女の笑顔だった。
「・・・何?」
「いつも何を聞いているのですか?
良かったらおすすめとか教えてください」
ストレートの黒髪とめがねとイヤフォン
俺の日常が俺のスタイルがその日モノトーンから薔薇色に変わった。
→
彼女を自分色に染めてあげましょう。(笑い)
化粧もしているようだ。
先月はもう少しおとなしめの茶髪だった。
その前はFF7の主人公みたいな髪型をしていた。
彼女はカメレオン。
俺はイヤフォンで音楽を聴きながら、
文庫本を読みつつさきほど乗ってきた彼女をさりげなく観察していた。
同時刻いつも同じ車両に乗ってくる女子高生。
大きな黒い目と桜色の唇とそしてそばかすがかわいい。
彼女もよく本を読んでいた。
カバーはかけていない。
今朝はルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインときたか。
哲学とか心理学とかがどうやらお好みらしい。
俺と彼女の降りる駅は同じだ。
彼女は高校へ俺は大学へそれぞれ向かうのだ。
予想通り新しい彼氏?らしき男が駅で彼女を待っていた。
金髪にピアスの男だった。
茶髪の男とは別れたのだろう。
★★
あれから半年が過ぎていた。
彼女の髪はストレートの黒髪になっていた。
このパターンは意外にも初めてみるが
よく似合っているのではないかと思う。
そしてノンフレームのめがね、
彼女も今朝は音楽を聞いているらしい。
耳にはイヤフォン。
ピアスも化粧もしていない。
今朝は数学の参考書に目を通していた。
テスト期間なのかもしれない。
駅に着き、俺と彼女は下車した。
俺は彼女の後ろをゆっくりと歩いていた。
不意に彼女が振り返った。
「あの・・・」彼女はにっこりと微笑んだ。
俺はいつものクールといわれ続けている得意の表情をつくることができずにいた。
みっともなくうろたえていた。不意打ちの彼女の笑顔だった。
「・・・何?」
「いつも何を聞いているのですか?
良かったらおすすめとか教えてください」
ストレートの黒髪とめがねとイヤフォン
俺の日常が俺のスタイルがその日モノトーンから薔薇色に変わった。
→
彼女を自分色に染めてあげましょう。(笑い)
まだこんなにも好き
2008-03-04
アクセサリーケースの金の指輪。
それはとてもシンプルなものではあるけれど今も静かに輝いていた。
手に取ってみた。
手のひらがほんの少しあたたかくなった。
目を閉じれば鮮やかに彼の笑顔を思い浮かべることができた。
こんなにもまだ彼のことを思っている。
★・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★
「誕生日おめでとう」
彼はニコニコしながらあけてみな、と続けた。
水色のリボンをはずして箱をあけた。
おもいがけないリングだった。
ずっとずっと片思いのほとんどあきらめていた恋だったから、
嬉しくて言葉にできなくて私は涙をぽろぽろ流していた。
彼は少し照れたような顔をしていた。
愛して愛されて
多くの言葉とたくさんの素敵なものを彼からもらった。
あのころの私は世界一幸せな女の子だった。
でも、幸せは長くは続かなかった。
夏が来て秋がきてそして冬がきた。
あの子が再び彼の前に現れて私の大切な彼を奪っていった。
つまり彼は元彼女とよりを戻したのだ。
邪魔な存在なのはこの私のほうなのだ。
けれども彼は気まぐれな彼女をもてあますと私のところにくることもあった。
「あいつといると疲れる、でも、お前といると安らぐよ」
いたずらに私の心をかき乱し期待させ突き落とし私を酷く優しく抱くのだった。
「大丈夫?、セナ?やせすぎだよ、ちゃんと食べてないんじゃないの」
「・・大丈夫、心配してくれてありがと」
「みてらんないよ、もう、あの二股馬鹿男と別れなよ」
「そうしたい、でもどうしょうもない」
「セナ、ちゃんといわなきゃだめだよ。セナと彼女とどっちが好きなのかあいつに聞きなよ」
親友ユイの声はいつしか涙声になっていた。
「うん、・・そうだよね、もう終わらせないといけないんだよね」
私は震える声で彼に電話をした。
明日夕方3時にいつも二人で会っていた海の近くのカフェに来て欲しいとお願いをした。
「明日?行けるかどうかわかんないよ」」
彼ののんびりした声、傍らには彼女がいるのかもしれない。
翌日は快晴だった。
私は彼からもらったリングをつけて家を出た。
3時、4時、5時、彼は来なかった。
私は店を出た。
やはり来なかった。
予想はしていたもののこれが現実だと思うととても悲しくて涙が止まらなかった。
あれほど晴れていた空があっという間に雲に覆われた。
雨。
ぼつりぼつり涙みたいな雨が私の心にも降り注ぐ。
涙なのか雨なのか。
降り続く雨の中で私の恋は終わった。
「馬鹿セナ!風邪ひいたらどうすんのよ」
傘とタオル、差し出してくれたのは、ユイだった。
「熱だしてすっきりしたら馬鹿も治るかなあ」
私はなんとか笑顔を作ってみた。
セナ、誕生日おめでとう
雨降る空から神様の祝福の声が聞こえたような気がした。
→
ずっと好きでもいいですよね。
彼を好きで、そして、愛して愛された記憶は永遠にあなたの心にあるのでしょう。
それはとてもシンプルなものではあるけれど今も静かに輝いていた。
手に取ってみた。
手のひらがほんの少しあたたかくなった。
目を閉じれば鮮やかに彼の笑顔を思い浮かべることができた。
こんなにもまだ彼のことを思っている。
★・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★
「誕生日おめでとう」
彼はニコニコしながらあけてみな、と続けた。
水色のリボンをはずして箱をあけた。
おもいがけないリングだった。
ずっとずっと片思いのほとんどあきらめていた恋だったから、
嬉しくて言葉にできなくて私は涙をぽろぽろ流していた。
彼は少し照れたような顔をしていた。
愛して愛されて
多くの言葉とたくさんの素敵なものを彼からもらった。
あのころの私は世界一幸せな女の子だった。
でも、幸せは長くは続かなかった。
夏が来て秋がきてそして冬がきた。
あの子が再び彼の前に現れて私の大切な彼を奪っていった。
つまり彼は元彼女とよりを戻したのだ。
邪魔な存在なのはこの私のほうなのだ。
けれども彼は気まぐれな彼女をもてあますと私のところにくることもあった。
「あいつといると疲れる、でも、お前といると安らぐよ」
いたずらに私の心をかき乱し期待させ突き落とし私を酷く優しく抱くのだった。
「大丈夫?、セナ?やせすぎだよ、ちゃんと食べてないんじゃないの」
「・・大丈夫、心配してくれてありがと」
「みてらんないよ、もう、あの二股馬鹿男と別れなよ」
「そうしたい、でもどうしょうもない」
「セナ、ちゃんといわなきゃだめだよ。セナと彼女とどっちが好きなのかあいつに聞きなよ」
親友ユイの声はいつしか涙声になっていた。
「うん、・・そうだよね、もう終わらせないといけないんだよね」
私は震える声で彼に電話をした。
明日夕方3時にいつも二人で会っていた海の近くのカフェに来て欲しいとお願いをした。
「明日?行けるかどうかわかんないよ」」
彼ののんびりした声、傍らには彼女がいるのかもしれない。
翌日は快晴だった。
私は彼からもらったリングをつけて家を出た。
3時、4時、5時、彼は来なかった。
私は店を出た。
やはり来なかった。
予想はしていたもののこれが現実だと思うととても悲しくて涙が止まらなかった。
あれほど晴れていた空があっという間に雲に覆われた。
雨。
ぼつりぼつり涙みたいな雨が私の心にも降り注ぐ。
涙なのか雨なのか。
降り続く雨の中で私の恋は終わった。
「馬鹿セナ!風邪ひいたらどうすんのよ」
傘とタオル、差し出してくれたのは、ユイだった。
「熱だしてすっきりしたら馬鹿も治るかなあ」
私はなんとか笑顔を作ってみた。
セナ、誕生日おめでとう
雨降る空から神様の祝福の声が聞こえたような気がした。
→
ずっと好きでもいいですよね。
彼を好きで、そして、愛して愛された記憶は永遠にあなたの心にあるのでしょう。
嫌なら逃げな
2008-03-03
「ケイちゃん、そろそろ俺のこと好きになった?」
いつものジュンの台詞。
どこまで本気なのかわからない。
神に徹底的に愛されて生まれてきたようなこの男は
キャンパスでもいつだって女の子に囲まれていて
なぜこんなに引っ込み思案で地味な私をかまうのだろうかと疑問だらけで
ますます臆病になってしまうのだ。
夕暮れの道をジュンと歩く。
私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
どうでもいいような私の話につきあってくれたり
時には落ち込んでいるドジな私にアドバイスしてくれたり
さりげない優しさをいつもくれるのだ。
自然が一杯のお気に入りの公園のベンチに座った。
彼のコロンは柑橘系なのだろう。
とても良い香りがする。
当たり前だけれど、とても近い距離に彼はいるということだ。
沈黙。
私の心臓の音はうるさいほどになっていた。
ジュンはふいに私の腰に腕をまわし抱き寄せた。
驚く私に触れるだけの優しいキスが落とされた。
「俺が嫌いなら、ここから逃げな」
「・・・逃げたらどうなるの?」
私は彼の胸に顔をうずめた。
彼の鼓動。
彼の香り。
もういい、もう嘘はやめよう、素直になろう。
たとえ彼が私にあきてすぐに捨てられたとしても
少しでも彼に愛されたという思い出は残るだろう。
ぎゅっと音がするくらい抱きしめられた。
「逃げてもまたつかまえる、どこまでも追いかけるよ」
→
彼が自分の世界からもしいなくなってしまったとしたらどうだろうか。
ほんの少し、素直になればいい。
怖がらずに愛されることに身をゆだねればいい。
いつものジュンの台詞。
どこまで本気なのかわからない。
神に徹底的に愛されて生まれてきたようなこの男は
キャンパスでもいつだって女の子に囲まれていて
なぜこんなに引っ込み思案で地味な私をかまうのだろうかと疑問だらけで
ますます臆病になってしまうのだ。
夕暮れの道をジュンと歩く。
私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。
どうでもいいような私の話につきあってくれたり
時には落ち込んでいるドジな私にアドバイスしてくれたり
さりげない優しさをいつもくれるのだ。
自然が一杯のお気に入りの公園のベンチに座った。
彼のコロンは柑橘系なのだろう。
とても良い香りがする。
当たり前だけれど、とても近い距離に彼はいるということだ。
沈黙。
私の心臓の音はうるさいほどになっていた。
ジュンはふいに私の腰に腕をまわし抱き寄せた。
驚く私に触れるだけの優しいキスが落とされた。
「俺が嫌いなら、ここから逃げな」
「・・・逃げたらどうなるの?」
私は彼の胸に顔をうずめた。
彼の鼓動。
彼の香り。
もういい、もう嘘はやめよう、素直になろう。
たとえ彼が私にあきてすぐに捨てられたとしても
少しでも彼に愛されたという思い出は残るだろう。
ぎゅっと音がするくらい抱きしめられた。
「逃げてもまたつかまえる、どこまでも追いかけるよ」
→
彼が自分の世界からもしいなくなってしまったとしたらどうだろうか。
ほんの少し、素直になればいい。
怖がらずに愛されることに身をゆだねればいい。
誰かに取られるくらいなら
2008-03-02
今日、よしくんに告られちゃった。どうしよ?、涼
お前はしゃぎすぎ
喜びすぎ
俺にそんなこと聞くなっ
上目遣いするんじゃねーよ
制服のスカート短すぎ
他の男としゃべりすぎ
・・・お前はいつだって可愛すぎ
よしくんいい子だし、優しいし、一年の頃から好きだって言ってくれた・・
馬鹿!俺の方が<お前好き歴>長いぞ。
産まれたときから隣同士の家なんだぞ。
ねえ、涼、どうしたらいいかな?私の話聞いてる?
ああ、聞いてるよ。
よしのこと殴ってやりたいくらい聞いてるさ。
ずっと守ってきたんだぞ、お前のこと
「涼ってば、どうしたの?さっきらから黙りこくっちゃって。なんか怒ってるの?」
「断れよ、そんなの決まってるだろ」
「・・・」
「必要ないだろ」
「・・・涼?」
「お前鈍すぎ、いい加減気づけ」
「???何?」
「お前は俺のだろ!」
→
(´∀`*)青春してますぞ、高校生。
本当に大切な人は案外すぐ隣にいるものなのかもしれませんね。
お前はしゃぎすぎ
喜びすぎ
俺にそんなこと聞くなっ
上目遣いするんじゃねーよ
制服のスカート短すぎ
他の男としゃべりすぎ
・・・お前はいつだって可愛すぎ
よしくんいい子だし、優しいし、一年の頃から好きだって言ってくれた・・
馬鹿!俺の方が<お前好き歴>長いぞ。
産まれたときから隣同士の家なんだぞ。
ねえ、涼、どうしたらいいかな?私の話聞いてる?
ああ、聞いてるよ。
よしのこと殴ってやりたいくらい聞いてるさ。
ずっと守ってきたんだぞ、お前のこと
「涼ってば、どうしたの?さっきらから黙りこくっちゃって。なんか怒ってるの?」
「断れよ、そんなの決まってるだろ」
「・・・」
「必要ないだろ」
「・・・涼?」
「お前鈍すぎ、いい加減気づけ」
「???何?」
「お前は俺のだろ!」
→
(´∀`*)青春してますぞ、高校生。
本当に大切な人は案外すぐ隣にいるものなのかもしれませんね。
年下の君を想う
2008-03-01
この気持ちが恋であると自覚したのは一年も前のことだった。
つまりようするに私の片思い歴は365日にもなるのである。
愛しの君は今日も王子のごとく光り輝いていてニコニコと笑っている。
なにしろネクタイの色もスーツも彼に良く似合っていて爽やか度100%なのだ。
朝からその顔は反則、目に毒、仕事にならない。
彼の少し茶色の瞳にとらわれてしまっていた。
ああ、本当に綺麗だなあ、この人
「先輩どうしたんですか?俺の顔になんかついてます?
ここ数字間違ってるみたいですけど」
どうやら見蕩れていたらしい。
どうにかこうにか今日も仕事を終えることができそうだ。
王子の席をさりげなくみる。
王子の隣には彼と同期の職場のアイドル、かなちゃんがいた。
二人はなにやら親しそうに話をしている様子だ。
とても似合うのである、王子とかなちゃん
お内裏さまとお雛さまみたいだ。
私はため息をついた。
「あの、先輩も飲みに行きませんか?会社の近くの店ですけれど、
私たちとあと二人ほどくるとおもいますが」
顔も性格も完璧なかなちゃんが私を誘ってくれた。
「ありがとう。でも、ごめんね。まだ仕事終わってないから、無理かな」
私は小さな嘘をついた。
「わかりました。じゃあ、お仕事頑張ってくださいね」
かなちゃんのスイートボイスが私に向けられた。
王子は軽く私に手を振り
「それでは先輩お先に失礼します」と言った。
先輩か、一度でいいから名前で呼んで欲しいな
この先何年たっても私は彼より5つも年上のただの先輩という存在なのだ。
王子と一緒の飲み会は魅力的だけれどかなちゃんがいるとなると話は別だ。
仲良しの二人のことを勝手に想像してしまい、落ち込んでしまいそうだ。
ほとんどやけ酒になってしまうだろう。
二人が言葉を交わすたびに悲しくて嫉妬に狂ってしまいそうだ。
私はありもしない残業をしていた。
PC前に座り明日やれば十分間に合うような書類をたくさん作っていた。
結局午後11時になっていた。
私はいったい何をやっているのだろう。
会社を出た。
春とは名ばかりで寒さが身にしみるようだった。
寂しくてこのまま死んでしまいそうだ。
駅へと向かう道をのろのろと歩いていた。
暗く続く孤独への階段を登っているみたいだった。
不意に声をかけられた。
「先輩!仕事終わったんですね。
俺も今から帰るところなんですよ」
そこにはいるはずのない幻の王子。
私はうつむいたままでいた。
まさか彼のはずがない。
幻聴があり幻覚がみえるほど私は重症なのだろう。
医者にも治療不可能の恋煩いだ。
王子は私の肩をぽんぽんとたたいた。
「先輩一緒に帰りましょう」
顔をあげた私を見るなり彼は少し驚いたようだった。
「先輩!」
「?」
ああ、きっと私の顔はまぬけそのものだろう。
彼のひとさし指が私の目の下をそっとなでた。
何?今、何がおきた?
落雷が落ちた、私の心に。
無言のまま彼をみつめる。
「涙、流れてる、先輩、どうしたの?」
「えっ、私、泣いてるの???」
「先輩、迷子にでもなったの?」
敬語でも丁寧語でもない普通の言葉で彼は私に話しかける。
「えっ、なんでだろ、泣いていないよ、平気、なんでもない、きっと寒かっただけ」
彼はくすりと笑い、私を突然抱きしめた。
私はブロンズ像にでもなってしまったかのように固まっていた。
動けない。いや動きたくない。このままでいたい。
でもこれは夢なのかもしれないのだ。
あとでほっぺをつねってみよう。
「残業なんかなかったくせに。
・・・もう、ほうっておけない、そういうところがかわいすぎる」
彼は私にそう囁いた。
そして、私を抱きしめたまま、
「泣かせたのは俺?」と聞いた。
私はすこしためらってからゆっくりと首を縦に振った。
彼の心臓の音を聞いていた。
「もう、泣かせないよ、」
と言い、彼は私のファーストネームを呼んだ。
→
年下君、やりますね。
彼の方もいままでずっとあなたのことを見ていたのでしょうね。
つまりようするに私の片思い歴は365日にもなるのである。
愛しの君は今日も王子のごとく光り輝いていてニコニコと笑っている。
なにしろネクタイの色もスーツも彼に良く似合っていて爽やか度100%なのだ。
朝からその顔は反則、目に毒、仕事にならない。
彼の少し茶色の瞳にとらわれてしまっていた。
ああ、本当に綺麗だなあ、この人
「先輩どうしたんですか?俺の顔になんかついてます?
ここ数字間違ってるみたいですけど」
どうやら見蕩れていたらしい。
どうにかこうにか今日も仕事を終えることができそうだ。
王子の席をさりげなくみる。
王子の隣には彼と同期の職場のアイドル、かなちゃんがいた。
二人はなにやら親しそうに話をしている様子だ。
とても似合うのである、王子とかなちゃん
お内裏さまとお雛さまみたいだ。
私はため息をついた。
「あの、先輩も飲みに行きませんか?会社の近くの店ですけれど、
私たちとあと二人ほどくるとおもいますが」
顔も性格も完璧なかなちゃんが私を誘ってくれた。
「ありがとう。でも、ごめんね。まだ仕事終わってないから、無理かな」
私は小さな嘘をついた。
「わかりました。じゃあ、お仕事頑張ってくださいね」
かなちゃんのスイートボイスが私に向けられた。
王子は軽く私に手を振り
「それでは先輩お先に失礼します」と言った。
先輩か、一度でいいから名前で呼んで欲しいな
この先何年たっても私は彼より5つも年上のただの先輩という存在なのだ。
王子と一緒の飲み会は魅力的だけれどかなちゃんがいるとなると話は別だ。
仲良しの二人のことを勝手に想像してしまい、落ち込んでしまいそうだ。
ほとんどやけ酒になってしまうだろう。
二人が言葉を交わすたびに悲しくて嫉妬に狂ってしまいそうだ。
私はありもしない残業をしていた。
PC前に座り明日やれば十分間に合うような書類をたくさん作っていた。
結局午後11時になっていた。
私はいったい何をやっているのだろう。
会社を出た。
春とは名ばかりで寒さが身にしみるようだった。
寂しくてこのまま死んでしまいそうだ。
駅へと向かう道をのろのろと歩いていた。
暗く続く孤独への階段を登っているみたいだった。
不意に声をかけられた。
「先輩!仕事終わったんですね。
俺も今から帰るところなんですよ」
そこにはいるはずのない幻の王子。
私はうつむいたままでいた。
まさか彼のはずがない。
幻聴があり幻覚がみえるほど私は重症なのだろう。
医者にも治療不可能の恋煩いだ。
王子は私の肩をぽんぽんとたたいた。
「先輩一緒に帰りましょう」
顔をあげた私を見るなり彼は少し驚いたようだった。
「先輩!」
「?」
ああ、きっと私の顔はまぬけそのものだろう。
彼のひとさし指が私の目の下をそっとなでた。
何?今、何がおきた?
落雷が落ちた、私の心に。
無言のまま彼をみつめる。
「涙、流れてる、先輩、どうしたの?」
「えっ、私、泣いてるの???」
「先輩、迷子にでもなったの?」
敬語でも丁寧語でもない普通の言葉で彼は私に話しかける。
「えっ、なんでだろ、泣いていないよ、平気、なんでもない、きっと寒かっただけ」
彼はくすりと笑い、私を突然抱きしめた。
私はブロンズ像にでもなってしまったかのように固まっていた。
動けない。いや動きたくない。このままでいたい。
でもこれは夢なのかもしれないのだ。
あとでほっぺをつねってみよう。
「残業なんかなかったくせに。
・・・もう、ほうっておけない、そういうところがかわいすぎる」
彼は私にそう囁いた。
そして、私を抱きしめたまま、
「泣かせたのは俺?」と聞いた。
私はすこしためらってからゆっくりと首を縦に振った。
彼の心臓の音を聞いていた。
「もう、泣かせないよ、」
と言い、彼は私のファーストネームを呼んだ。
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年下君、やりますね。
彼の方もいままでずっとあなたのことを見ていたのでしょうね。





