愛しい人
2008-03-15
しゅわしゅわの泡のたつカクテルで乾杯した。
私のハートもドクドクとうるさいくらいだ。
カウンターに座る私の隣には27歳になった彼がいた。
同窓会、元彼との再会。
二次会はパスして彼についていく。
お約束のような展開は私を幸せな気持ちへと導いた。
「あれから10年もたったのか」
髪は昔よりすこし短くなっていたけれどあいかわらず羨ましいくらいサラサラだった。
触れてみたいとそう思った。
髪に触れたら彼の心と対話できるかもしれないと思った。
前髪をかきあげるしぐさがやけにセクシーで確かに10年たったのだと思った。
女心を無意識にかき乱す無邪気で鈍感な爽やか少年はもうどこにもいない。
しなやかなその指先で優しく激しく私に触れて欲しいとそう願った。
グラスを重ね、思い出話を繰り返す。
もう会えないかもしれない、最後かもしれない貴重な時間がすぎていった。
「出ようか、ここ」
彼は伝票を持ちまっすぐに私をみつめた。
シンデレラならあわててガラスの靴を片方落として走り去らなければいけない時間だ。
制服を着ていた頃の二人のように自然に手をつなぎながら夜の街を歩いた。
もうすぐ終わるのだ、彼と一緒にいることができる夢のような時間は
ピリオドをうつのだ。
あの日もこんなふうにそれぞれの家へと向かう分かれ道に立っていた。
きっとこのあと「じゃあな」と言って、あの日のように振り向きもせず行ってしまうのだ。
残された私は彼の姿が見えなくなるまでみじろぎもせずその場に立ち止まるのだ。
どんなに思っても片思いなのだとおもいしらされたあの日。
何年たっても私だけが彼を好きで彼にとっては私は少し仲良しの女友達にすぎないのだろう。
17歳の夏の日。
彼が風のように奪っていった私のファーストキス。
恥ずかしくて顔をあげられない私とは対照的に彼はにこにこ笑っていた。
「ドキドキした?」などとのんきな言葉を発していた彼。
思い出はいつでも綺麗で私の時は止まったままだった。
せめて今夜だけは彼とつりあうようなかっこいい女でいたい。
私のほうからスマートにさよならと言おう。
「・・じゃあ、ここで・・・」
私の台詞は途中でさえぎられた。
ふいに彼に抱きしめられた。
「帰すわけないだろ。あの夜、俺がお前と過ごしていたらこんなふうに10年も離れ離れでいることなかったんだろ?もう後悔したくない」
→
女にも勝負時があるのです。
どうしても帰りたくないそんな一夜があるのです。
好きならどうか遠回りしないで。
私のハートもドクドクとうるさいくらいだ。
カウンターに座る私の隣には27歳になった彼がいた。
同窓会、元彼との再会。
二次会はパスして彼についていく。
お約束のような展開は私を幸せな気持ちへと導いた。
「あれから10年もたったのか」
髪は昔よりすこし短くなっていたけれどあいかわらず羨ましいくらいサラサラだった。
触れてみたいとそう思った。
髪に触れたら彼の心と対話できるかもしれないと思った。
前髪をかきあげるしぐさがやけにセクシーで確かに10年たったのだと思った。
女心を無意識にかき乱す無邪気で鈍感な爽やか少年はもうどこにもいない。
しなやかなその指先で優しく激しく私に触れて欲しいとそう願った。
グラスを重ね、思い出話を繰り返す。
もう会えないかもしれない、最後かもしれない貴重な時間がすぎていった。
「出ようか、ここ」
彼は伝票を持ちまっすぐに私をみつめた。
シンデレラならあわててガラスの靴を片方落として走り去らなければいけない時間だ。
制服を着ていた頃の二人のように自然に手をつなぎながら夜の街を歩いた。
もうすぐ終わるのだ、彼と一緒にいることができる夢のような時間は
ピリオドをうつのだ。
あの日もこんなふうにそれぞれの家へと向かう分かれ道に立っていた。
きっとこのあと「じゃあな」と言って、あの日のように振り向きもせず行ってしまうのだ。
残された私は彼の姿が見えなくなるまでみじろぎもせずその場に立ち止まるのだ。
どんなに思っても片思いなのだとおもいしらされたあの日。
何年たっても私だけが彼を好きで彼にとっては私は少し仲良しの女友達にすぎないのだろう。
17歳の夏の日。
彼が風のように奪っていった私のファーストキス。
恥ずかしくて顔をあげられない私とは対照的に彼はにこにこ笑っていた。
「ドキドキした?」などとのんきな言葉を発していた彼。
思い出はいつでも綺麗で私の時は止まったままだった。
せめて今夜だけは彼とつりあうようなかっこいい女でいたい。
私のほうからスマートにさよならと言おう。
「・・じゃあ、ここで・・・」
私の台詞は途中でさえぎられた。
ふいに彼に抱きしめられた。
「帰すわけないだろ。あの夜、俺がお前と過ごしていたらこんなふうに10年も離れ離れでいることなかったんだろ?もう後悔したくない」
→
女にも勝負時があるのです。
どうしても帰りたくないそんな一夜があるのです。
好きならどうか遠回りしないで。
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