出会い系で恋をして
2008-03-19
快晴の土曜日。
鏡の中の私は少し緊張気味であった。
メイクは完璧、髪もいい感じ、服装だってばっちりだ。
お気に入りのバッグを持って待ち合わせ場所に向かう。
その噴水の周りには多くの人がいた。
この中に彼はいるのだろうか。
【グレイのバッグを持って黒いジャケットの奴がいたらそれが俺だから】
いた・・・おそらくあの人がメールの彼だ。
私は深呼吸をして、思い切って彼の方をみた。
彼も私に気づいたらしい。
彼はすばやくメールを打っていた。
すぐに私のメールの着メロがなる。
【なっちゃん?】
私は携帯を閉じ、彼のほうを向きこくりとうなずいた。
至近距離で見た彼はプロフィール通り背が高くて細身で
送ってくれた画像よりももっと素敵な人だった。
「なっちゃん、イメージどおりだからすぐわかった」
爽やかな笑顔の彼にドキドキは最高潮に達してしまった。
★★
お洒落なインテリアのお店でランチを取る。
お見合いみたいなやりとりはメールの中で十分にしていたので会話はスムーズだった。
話題豊富な彼にリードされていつもよりにぎやかな私になっていた。
お店を出て彼に手を握られ手をつなぎゆっくりと雑貨屋をひやかし、
おしゃべりを楽しみながら坂道をゆっくりと歩いていた。
目的地に着いたのか、彼は不意に立ち止まる。
私の肩を抱き寄せた。私の耳元で心地の良い低音が響く。
「リアルななっちゃんのほうが全然いいな。もっと知りたい、君のこと。このまま帰したくない」
まるで前からの知り合いのように私の心にすんなりと彼は入り込んできた。
★★
後ろから優しく抱きしめられ「怖い?震えてる」と聞かれた。
「うん」
「私のこと好き?」
「好きだよ。こうして会う前から、メールだけですでになっちゃんの魅力におとされてました。
俺、馬鹿みたいになっちゃんに今夢中です」
私は思わず笑っていた。怖さも薄れたようだ。
静かに私は彼の手に自分の手を重ねた。
「・・あの、私初めてだから・・・」
「わかった、優しくするから」
彼の穏やかな瞳を見ることができてとても嬉しかった。
優しいキスが私を安心させた。
私はきつく目を閉じた。
だんだん激しくなる彼の唇が私の体をそして心を侵略していく。
未知なる世界への扉が開いた。
★★
そして一年が過ぎた。
彼は変わらぬ優しさをくれ時を忘れてむさぼるように愛し合うこともあった。
私たちの恋は順調だったけれど彼は忙しいらしくなかなか会えない日が続いた。
私たちが出会ったサイトを懐かしい気持ちで訪問していた。
男性の方の投稿文をのぞいてみた。
【はじめまして。メールしませんか。スペックは183cm太ってないよ。趣味はスノーボードとサッカーをやること・・・・】
なにこれ?どこかで見た文章だった。
そうだ。彼が私にくれたファーストメールに似ていた。
私はあわてて彼の携帯に電話をかけていた。
残業中だったらしい彼はいつもよりもずっと不機嫌だった。
『何?今会社なんだよ』
『ごめん、仕事中に。・・あの・・』
『どうした?』
『ねえ、また、あのサイトでメル友募集してる?』
『はあ?』
『・・どうしてそんなことしてるの?ひどいじゃない。私のこと遊びなの?
このごろ全然メールくれなくなったし、会える日も少なくなった・・
仕事とか言ってるけど嘘なんでしょ、女の子と会ったりしてるんでしょ?・・』
私はイライラを抑えることができずに思い切り彼に酷い言葉を投げつけていた。
もう止まらない。
彼はしばらく沈黙していたけれど盛大にため息をついた。
『・・ああ、わかったよ、もうそういうことでいいよ。
かわいい子とメールしてなかよくなったら面接してみて好みのタイプなら寝るんだよ。
遊びだろ、出会い系なんだぞ。本気なわけないだろ』
『・・・嘘、信じられない、今までの私とのこと全部が遊びなの?』
『さっきまで本気だった。なっちゃんに会う前の女とは全部遊びだったけど』
『・・だって、投稿してるじゃない、今もあのサイトに』
『俺じゃないよ。似てるプロフの奴なんかいくらだっているだろ』
私はもう一度そのサイトをみた。
その人の住所はよく見ると関西になっていた。
彼ではない。
私は自分のミスを何度もわびた。
嫉妬のあまりわれを忘れてしまったことを謝罪した。
『たとえこんな形で出会ったとしても俺はすくなくとも真剣だったよ
でも、信じることができなくなったらもう終わりだろ』
彼の言葉はさよならと続いた。
そして唐突に電話は切られた。
それっきりメールも電話もつながらなくなった。
ゲームオーバー。
→
ああ、悩ましき出会い系。
その恋信じますか?
鏡の中の私は少し緊張気味であった。
メイクは完璧、髪もいい感じ、服装だってばっちりだ。
お気に入りのバッグを持って待ち合わせ場所に向かう。
その噴水の周りには多くの人がいた。
この中に彼はいるのだろうか。
【グレイのバッグを持って黒いジャケットの奴がいたらそれが俺だから】
いた・・・おそらくあの人がメールの彼だ。
私は深呼吸をして、思い切って彼の方をみた。
彼も私に気づいたらしい。
彼はすばやくメールを打っていた。
すぐに私のメールの着メロがなる。
【なっちゃん?】
私は携帯を閉じ、彼のほうを向きこくりとうなずいた。
至近距離で見た彼はプロフィール通り背が高くて細身で
送ってくれた画像よりももっと素敵な人だった。
「なっちゃん、イメージどおりだからすぐわかった」
爽やかな笑顔の彼にドキドキは最高潮に達してしまった。
★★
お洒落なインテリアのお店でランチを取る。
お見合いみたいなやりとりはメールの中で十分にしていたので会話はスムーズだった。
話題豊富な彼にリードされていつもよりにぎやかな私になっていた。
お店を出て彼に手を握られ手をつなぎゆっくりと雑貨屋をひやかし、
おしゃべりを楽しみながら坂道をゆっくりと歩いていた。
目的地に着いたのか、彼は不意に立ち止まる。
私の肩を抱き寄せた。私の耳元で心地の良い低音が響く。
「リアルななっちゃんのほうが全然いいな。もっと知りたい、君のこと。このまま帰したくない」
まるで前からの知り合いのように私の心にすんなりと彼は入り込んできた。
★★
後ろから優しく抱きしめられ「怖い?震えてる」と聞かれた。
「うん」
「私のこと好き?」
「好きだよ。こうして会う前から、メールだけですでになっちゃんの魅力におとされてました。
俺、馬鹿みたいになっちゃんに今夢中です」
私は思わず笑っていた。怖さも薄れたようだ。
静かに私は彼の手に自分の手を重ねた。
「・・あの、私初めてだから・・・」
「わかった、優しくするから」
彼の穏やかな瞳を見ることができてとても嬉しかった。
優しいキスが私を安心させた。
私はきつく目を閉じた。
だんだん激しくなる彼の唇が私の体をそして心を侵略していく。
未知なる世界への扉が開いた。
★★
そして一年が過ぎた。
彼は変わらぬ優しさをくれ時を忘れてむさぼるように愛し合うこともあった。
私たちの恋は順調だったけれど彼は忙しいらしくなかなか会えない日が続いた。
私たちが出会ったサイトを懐かしい気持ちで訪問していた。
男性の方の投稿文をのぞいてみた。
【はじめまして。メールしませんか。スペックは183cm太ってないよ。趣味はスノーボードとサッカーをやること・・・・】
なにこれ?どこかで見た文章だった。
そうだ。彼が私にくれたファーストメールに似ていた。
私はあわてて彼の携帯に電話をかけていた。
残業中だったらしい彼はいつもよりもずっと不機嫌だった。
『何?今会社なんだよ』
『ごめん、仕事中に。・・あの・・』
『どうした?』
『ねえ、また、あのサイトでメル友募集してる?』
『はあ?』
『・・どうしてそんなことしてるの?ひどいじゃない。私のこと遊びなの?
このごろ全然メールくれなくなったし、会える日も少なくなった・・
仕事とか言ってるけど嘘なんでしょ、女の子と会ったりしてるんでしょ?・・』
私はイライラを抑えることができずに思い切り彼に酷い言葉を投げつけていた。
もう止まらない。
彼はしばらく沈黙していたけれど盛大にため息をついた。
『・・ああ、わかったよ、もうそういうことでいいよ。
かわいい子とメールしてなかよくなったら面接してみて好みのタイプなら寝るんだよ。
遊びだろ、出会い系なんだぞ。本気なわけないだろ』
『・・・嘘、信じられない、今までの私とのこと全部が遊びなの?』
『さっきまで本気だった。なっちゃんに会う前の女とは全部遊びだったけど』
『・・だって、投稿してるじゃない、今もあのサイトに』
『俺じゃないよ。似てるプロフの奴なんかいくらだっているだろ』
私はもう一度そのサイトをみた。
その人の住所はよく見ると関西になっていた。
彼ではない。
私は自分のミスを何度もわびた。
嫉妬のあまりわれを忘れてしまったことを謝罪した。
『たとえこんな形で出会ったとしても俺はすくなくとも真剣だったよ
でも、信じることができなくなったらもう終わりだろ』
彼の言葉はさよならと続いた。
そして唐突に電話は切られた。
それっきりメールも電話もつながらなくなった。
ゲームオーバー。
→
ああ、悩ましき出会い系。
その恋信じますか?
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