そして彼は冷めていく
2008-03-24
「可愛すぎる」
彼は少しかすれた声で囁き私を愛しそうに見下ろした。
彼の長い指が私の髪に頬に首筋に降りていく。
そして唇を奪われる。心まで根こそぎもっていかれる。
永遠と思えるくらいの時を過ごした。
甘く激しくお互いの欲望を満たしあう。
彼のほとばしる汗と私の秘めていた情熱が絡み合い溶け合う。
★★
「どうしたの、さっきから携帯ばかりみて」
ファミレスでランチを食べながら友人がからかう。
「えっ、別に、なんでもない」
「彼氏でもできた?」
何の悩みもなさそうな彼女は豪快に笑っている。
「そうだといいね、毎日楽しそう」
私はひきつった笑顔を彼女に向ける。
「そうかなあ。彼氏なんてできたらすごいことになりそう。
平凡だけど今のままでいいかも」
彼女はハンバーグを口に入れもぐもぐとおいしそうに食べていた。
私も少し前までこんなふうにお気楽な毎日を過ごしていたではないか。
★★
『お元気?仕事とか忙しいのかな?会いたいな』
私はメールを書いては消していた。
イライラする、不安になる、彼は私の心をかき乱す。
鎖骨につけられた彼の私への愛の証はもう消えかかっていた。
部屋はいつのまにか荒れていた。
掃除は手抜き、食事もあり合わせ、私はいったい何をしているのだろう。
思うことは彼のことばかりになっていた。
あの日私は彼に愛されたのではなかったのか。
あれから一度も彼からの連絡はなかった。
もう2週間になる。
何度目かのため息をついて覚悟を決めて私はメールを送信していた。
★★
昼に出したメールの返事は夜になってようやく届いた。
私はエプロンのポケットの中の携帯を取り出した。
夫は今夜も残業なのかまだ帰ってきていない。
『元気だよ。仕事はそこそこかな』
たったそれだけだった。
私はあわてて返事を書いていた。
『寂しくなっちゃった。会いたい』
今度はすぐに返事がきた。
『まさか本気で言ってる?俺たちただのメル友じゃない。
俺、いつも一度だけって決めてるんだよ。言わなかったっけ?
そのほうが燃えるだろ?遊びなんだから』
私は携帯を放り投げリビングの床に座り込んでいた。
涙は不思議と出なかった。
感じたのは深く不快な自己嫌悪。
退屈で平凡だけれど暖かい日常が私の居場所だったのだ。
刺激的で官能的な非日常は幻だった。
ありもしない恋とやらに浮かれて一人大騒ぎ。
本当に馬鹿みたい
→
彼はまたどこかの人妻さんを追いかけて狩りをしているのかもしれませんね。
刺激的な恋はどうしょうもなく魅力的なものなのです。
彼は少しかすれた声で囁き私を愛しそうに見下ろした。
彼の長い指が私の髪に頬に首筋に降りていく。
そして唇を奪われる。心まで根こそぎもっていかれる。
永遠と思えるくらいの時を過ごした。
甘く激しくお互いの欲望を満たしあう。
彼のほとばしる汗と私の秘めていた情熱が絡み合い溶け合う。
★★
「どうしたの、さっきから携帯ばかりみて」
ファミレスでランチを食べながら友人がからかう。
「えっ、別に、なんでもない」
「彼氏でもできた?」
何の悩みもなさそうな彼女は豪快に笑っている。
「そうだといいね、毎日楽しそう」
私はひきつった笑顔を彼女に向ける。
「そうかなあ。彼氏なんてできたらすごいことになりそう。
平凡だけど今のままでいいかも」
彼女はハンバーグを口に入れもぐもぐとおいしそうに食べていた。
私も少し前までこんなふうにお気楽な毎日を過ごしていたではないか。
★★
『お元気?仕事とか忙しいのかな?会いたいな』
私はメールを書いては消していた。
イライラする、不安になる、彼は私の心をかき乱す。
鎖骨につけられた彼の私への愛の証はもう消えかかっていた。
部屋はいつのまにか荒れていた。
掃除は手抜き、食事もあり合わせ、私はいったい何をしているのだろう。
思うことは彼のことばかりになっていた。
あの日私は彼に愛されたのではなかったのか。
あれから一度も彼からの連絡はなかった。
もう2週間になる。
何度目かのため息をついて覚悟を決めて私はメールを送信していた。
★★
昼に出したメールの返事は夜になってようやく届いた。
私はエプロンのポケットの中の携帯を取り出した。
夫は今夜も残業なのかまだ帰ってきていない。
『元気だよ。仕事はそこそこかな』
たったそれだけだった。
私はあわてて返事を書いていた。
『寂しくなっちゃった。会いたい』
今度はすぐに返事がきた。
『まさか本気で言ってる?俺たちただのメル友じゃない。
俺、いつも一度だけって決めてるんだよ。言わなかったっけ?
そのほうが燃えるだろ?遊びなんだから』
私は携帯を放り投げリビングの床に座り込んでいた。
涙は不思議と出なかった。
感じたのは深く不快な自己嫌悪。
退屈で平凡だけれど暖かい日常が私の居場所だったのだ。
刺激的で官能的な非日常は幻だった。
ありもしない恋とやらに浮かれて一人大騒ぎ。
本当に馬鹿みたい
→
彼はまたどこかの人妻さんを追いかけて狩りをしているのかもしれませんね。
刺激的な恋はどうしょうもなく魅力的なものなのです。
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