片思いのスクールデイズ
2008-03-18
クラス替えの新学期。
どことなくぎこちない会話を交わす新しいクラスメート。
今日もフジサキマコト君は授業中だというのに堂々と居眠り。
もう引退してしまったけれど彼は私たちサッカー部のエースだった。
試合中グラウンドを駆け抜ける彼の勇姿にマネージャーであった私はいつも
体中が震えるような感動をもらった。
凛々しい制服姿の彼。
入学式に一目惚れした。
神様は片思いの私を不憫におもってくださるのか、彼とは3年間同じクラスだった。
★★
私のランチタイムはいつもしょっぱいのだ。
「マコト!」
ホラ来た。
フジサキ君の彼女サヤカである。
二人分のお弁当を持って隣のクラスからやってくるのだ。
男子たちが彼女に見惚れている。
私はため息と涙ほろり、今日は卵焼きにかかってしまった。
「どうしたの?」友達が心配そうに尋ねる。
「花粉症なの、目とかかゆくて」グスグスと鼻をすすってみせた。
★★
教室のドアをあけようとしたが人の声がする。
この声はサヤカ?いつものおっとりした口調ではない。
相当荒れている様子だ。
「・・・・・勝手ね、いまさら、何言ってるの?・・ずっとサッカー、仲間、友達だったし。
私のことなんてどうだってよかったんだね、マコトは」
ばしっ。この音は平手打ち?フジサキ君ともめてる?
忘れ物を取りにきたドジな私は修羅場に入っていくわけにもいかないので
立ち尽くしていた。
ガタガタとドアが開き泣き顔のサヤカが出てきた。
私に気づくと射抜くような視線をよこし、走り去っていった。
怖いくらいの強いまなざしだった。
いつまでもそこに立っている場合ではないので
のそのそと教室に入った。
フジサキ君は私を見て、少し驚き、困ったような顔をしていた。
「ごめん、大変なときに入ってきちゃって。忘れ物取りにきただけだから」
私はあわてて机の中の置きっぱなしになっていたプリントを鞄につめた。
急いで教室から出ようとする私を彼が呼び止めた。
「マネージャー、いつから聞いてた?」
「えっ・・えと、勝手だとかサッカーとか仲間とかが聞こえちゃったかな・・」
「そっか」彼はほっとしたような笑顔を浮かべた。
「フジサキ君、サヤカ追いかけなくていいの?」
「いいよ、あいつさ、俺といると怒ってばかりでドンドン不細工になっていくんだよ。
サッカーばかりやってる俺が嫌いとか言われたらどうしょうもないじゃん。
俺じゃだめなんだろうな」
「それは違うよ。きっとフジサキ君のこと好きすぎてどんなことにも嫉妬しちゃうんだよ。
サッカーとか友達とかいろんなことに」
「・・・嫉妬か・・でも、俺は好きな奴が夢中になってるものがあるなら応援したいと思うな」
「そうだね。一生懸命な姿見てるだけで幸せになれるもんね」
彼は満足そうに微笑んだ。
その顔が眩しすぎて私はうつむいた。
「・・・マネージャー」
「うん?」
「これからも俺のことみててくれるか?」
私はびっくりして顔を上げた。
「俺さっき、サヤカに好きな子がいるっていったんだよ。だから別れて欲しいって言った」
「・・・フジサキ君・・・」
私の頭脳は珍しく大回転を始めていた。
どういうこと?
コノヒトハナニヲイッテイルノ?
私とフジサキ君の距離は何万光年もあるはずじゃないか。
「マネージャー・・・俺はお前のことが好きだ」
夕陽が私に彼に教室の放課後に降り注いだ。
→
甘酸っぱい青春時代。
後悔のない毎日を生きてください。
どことなくぎこちない会話を交わす新しいクラスメート。
今日もフジサキマコト君は授業中だというのに堂々と居眠り。
もう引退してしまったけれど彼は私たちサッカー部のエースだった。
試合中グラウンドを駆け抜ける彼の勇姿にマネージャーであった私はいつも
体中が震えるような感動をもらった。
凛々しい制服姿の彼。
入学式に一目惚れした。
神様は片思いの私を不憫におもってくださるのか、彼とは3年間同じクラスだった。
★★
私のランチタイムはいつもしょっぱいのだ。
「マコト!」
ホラ来た。
フジサキ君の彼女サヤカである。
二人分のお弁当を持って隣のクラスからやってくるのだ。
男子たちが彼女に見惚れている。
私はため息と涙ほろり、今日は卵焼きにかかってしまった。
「どうしたの?」友達が心配そうに尋ねる。
「花粉症なの、目とかかゆくて」グスグスと鼻をすすってみせた。
★★
教室のドアをあけようとしたが人の声がする。
この声はサヤカ?いつものおっとりした口調ではない。
相当荒れている様子だ。
「・・・・・勝手ね、いまさら、何言ってるの?・・ずっとサッカー、仲間、友達だったし。
私のことなんてどうだってよかったんだね、マコトは」
ばしっ。この音は平手打ち?フジサキ君ともめてる?
忘れ物を取りにきたドジな私は修羅場に入っていくわけにもいかないので
立ち尽くしていた。
ガタガタとドアが開き泣き顔のサヤカが出てきた。
私に気づくと射抜くような視線をよこし、走り去っていった。
怖いくらいの強いまなざしだった。
いつまでもそこに立っている場合ではないので
のそのそと教室に入った。
フジサキ君は私を見て、少し驚き、困ったような顔をしていた。
「ごめん、大変なときに入ってきちゃって。忘れ物取りにきただけだから」
私はあわてて机の中の置きっぱなしになっていたプリントを鞄につめた。
急いで教室から出ようとする私を彼が呼び止めた。
「マネージャー、いつから聞いてた?」
「えっ・・えと、勝手だとかサッカーとか仲間とかが聞こえちゃったかな・・」
「そっか」彼はほっとしたような笑顔を浮かべた。
「フジサキ君、サヤカ追いかけなくていいの?」
「いいよ、あいつさ、俺といると怒ってばかりでドンドン不細工になっていくんだよ。
サッカーばかりやってる俺が嫌いとか言われたらどうしょうもないじゃん。
俺じゃだめなんだろうな」
「それは違うよ。きっとフジサキ君のこと好きすぎてどんなことにも嫉妬しちゃうんだよ。
サッカーとか友達とかいろんなことに」
「・・・嫉妬か・・でも、俺は好きな奴が夢中になってるものがあるなら応援したいと思うな」
「そうだね。一生懸命な姿見てるだけで幸せになれるもんね」
彼は満足そうに微笑んだ。
その顔が眩しすぎて私はうつむいた。
「・・・マネージャー」
「うん?」
「これからも俺のことみててくれるか?」
私はびっくりして顔を上げた。
「俺さっき、サヤカに好きな子がいるっていったんだよ。だから別れて欲しいって言った」
「・・・フジサキ君・・・」
私の頭脳は珍しく大回転を始めていた。
どういうこと?
コノヒトハナニヲイッテイルノ?
私とフジサキ君の距離は何万光年もあるはずじゃないか。
「マネージャー・・・俺はお前のことが好きだ」
夕陽が私に彼に教室の放課後に降り注いだ。
→
甘酸っぱい青春時代。
後悔のない毎日を生きてください。
結婚幻想
2008-03-17
連れて行かれた先は海辺の小さな教会。
太陽の光を浴びたステンドグラス、咲き誇る花の香り。
他には誰もいないようだ。二人きりだった。
「二人でここに来るの夢だった」
マリア様みたいだなと言ってやればサヨは喜ぶのかもしれないとふと思った。
「ダイチとこれからもずっと一緒にいたい。お嫁さんにして?」
サヨは俺の唇がイエスと形作るのを待っているみたいだった。
「そういうの苦手。俺がだれとも結婚するつもりなんかないの、知ってるだろ?」
聖母みたいなサヨの顔はみるみるうちに歪んでいった。
「嘘、だって、他の子とは遊びかもしれないけれど私とはちゃんと・・・」
「ちゃんと?俺はいつでも誰にでもこんな感じだよ」
「・・・どうしてそんな酷いこと言うの?私たち5年もつきあってるのに」
「そんなの何の関係もないだろ?長くつきあうと結婚になるのか?
それはサヨが勝手に思っていることにすぎない」
俺の言葉は彼女の心を切り裂く。
サヨは心底絶望したように両手で顔を覆った。
「嫌だ、そんなのいやあ!!!!!」
サヨはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
静かな礼拝堂の中でサヨの泣き叫ぶ声がこだました。
俺が悪いのか?
俺は十字架に吊るされた神子の姿を仰ぎ見ていた。
→ 女性の皆さんのため息が聞こえそうですね。
確かに彼が言うように、
何年もつきあう→ラブラブの恋人同士→結婚
という流れは当然のことではないですよね。
彼と結婚したいのか、それとも彼と一緒にいるだけでいいのか、
よく考えなければいけないのかもしれませんね。
太陽の光を浴びたステンドグラス、咲き誇る花の香り。
他には誰もいないようだ。二人きりだった。
「二人でここに来るの夢だった」
マリア様みたいだなと言ってやればサヨは喜ぶのかもしれないとふと思った。
「ダイチとこれからもずっと一緒にいたい。お嫁さんにして?」
サヨは俺の唇がイエスと形作るのを待っているみたいだった。
「そういうの苦手。俺がだれとも結婚するつもりなんかないの、知ってるだろ?」
聖母みたいなサヨの顔はみるみるうちに歪んでいった。
「嘘、だって、他の子とは遊びかもしれないけれど私とはちゃんと・・・」
「ちゃんと?俺はいつでも誰にでもこんな感じだよ」
「・・・どうしてそんな酷いこと言うの?私たち5年もつきあってるのに」
「そんなの何の関係もないだろ?長くつきあうと結婚になるのか?
それはサヨが勝手に思っていることにすぎない」
俺の言葉は彼女の心を切り裂く。
サヨは心底絶望したように両手で顔を覆った。
「嫌だ、そんなのいやあ!!!!!」
サヨはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
静かな礼拝堂の中でサヨの泣き叫ぶ声がこだました。
俺が悪いのか?
俺は十字架に吊るされた神子の姿を仰ぎ見ていた。
→ 女性の皆さんのため息が聞こえそうですね。
確かに彼が言うように、
何年もつきあう→ラブラブの恋人同士→結婚
という流れは当然のことではないですよね。
彼と結婚したいのか、それとも彼と一緒にいるだけでいいのか、
よく考えなければいけないのかもしれませんね。
愛しい人
2008-03-15
しゅわしゅわの泡のたつカクテルで乾杯した。
私のハートもドクドクとうるさいくらいだ。
カウンターに座る私の隣には27歳になった彼がいた。
同窓会、元彼との再会。
二次会はパスして彼についていく。
お約束のような展開は私を幸せな気持ちへと導いた。
「あれから10年もたったのか」
髪は昔よりすこし短くなっていたけれどあいかわらず羨ましいくらいサラサラだった。
触れてみたいとそう思った。
髪に触れたら彼の心と対話できるかもしれないと思った。
前髪をかきあげるしぐさがやけにセクシーで確かに10年たったのだと思った。
女心を無意識にかき乱す無邪気で鈍感な爽やか少年はもうどこにもいない。
しなやかなその指先で優しく激しく私に触れて欲しいとそう願った。
グラスを重ね、思い出話を繰り返す。
もう会えないかもしれない、最後かもしれない貴重な時間がすぎていった。
「出ようか、ここ」
彼は伝票を持ちまっすぐに私をみつめた。
シンデレラならあわててガラスの靴を片方落として走り去らなければいけない時間だ。
制服を着ていた頃の二人のように自然に手をつなぎながら夜の街を歩いた。
もうすぐ終わるのだ、彼と一緒にいることができる夢のような時間は
ピリオドをうつのだ。
あの日もこんなふうにそれぞれの家へと向かう分かれ道に立っていた。
きっとこのあと「じゃあな」と言って、あの日のように振り向きもせず行ってしまうのだ。
残された私は彼の姿が見えなくなるまでみじろぎもせずその場に立ち止まるのだ。
どんなに思っても片思いなのだとおもいしらされたあの日。
何年たっても私だけが彼を好きで彼にとっては私は少し仲良しの女友達にすぎないのだろう。
17歳の夏の日。
彼が風のように奪っていった私のファーストキス。
恥ずかしくて顔をあげられない私とは対照的に彼はにこにこ笑っていた。
「ドキドキした?」などとのんきな言葉を発していた彼。
思い出はいつでも綺麗で私の時は止まったままだった。
せめて今夜だけは彼とつりあうようなかっこいい女でいたい。
私のほうからスマートにさよならと言おう。
「・・じゃあ、ここで・・・」
私の台詞は途中でさえぎられた。
ふいに彼に抱きしめられた。
「帰すわけないだろ。あの夜、俺がお前と過ごしていたらこんなふうに10年も離れ離れでいることなかったんだろ?もう後悔したくない」
→
女にも勝負時があるのです。
どうしても帰りたくないそんな一夜があるのです。
好きならどうか遠回りしないで。
私のハートもドクドクとうるさいくらいだ。
カウンターに座る私の隣には27歳になった彼がいた。
同窓会、元彼との再会。
二次会はパスして彼についていく。
お約束のような展開は私を幸せな気持ちへと導いた。
「あれから10年もたったのか」
髪は昔よりすこし短くなっていたけれどあいかわらず羨ましいくらいサラサラだった。
触れてみたいとそう思った。
髪に触れたら彼の心と対話できるかもしれないと思った。
前髪をかきあげるしぐさがやけにセクシーで確かに10年たったのだと思った。
女心を無意識にかき乱す無邪気で鈍感な爽やか少年はもうどこにもいない。
しなやかなその指先で優しく激しく私に触れて欲しいとそう願った。
グラスを重ね、思い出話を繰り返す。
もう会えないかもしれない、最後かもしれない貴重な時間がすぎていった。
「出ようか、ここ」
彼は伝票を持ちまっすぐに私をみつめた。
シンデレラならあわててガラスの靴を片方落として走り去らなければいけない時間だ。
制服を着ていた頃の二人のように自然に手をつなぎながら夜の街を歩いた。
もうすぐ終わるのだ、彼と一緒にいることができる夢のような時間は
ピリオドをうつのだ。
あの日もこんなふうにそれぞれの家へと向かう分かれ道に立っていた。
きっとこのあと「じゃあな」と言って、あの日のように振り向きもせず行ってしまうのだ。
残された私は彼の姿が見えなくなるまでみじろぎもせずその場に立ち止まるのだ。
どんなに思っても片思いなのだとおもいしらされたあの日。
何年たっても私だけが彼を好きで彼にとっては私は少し仲良しの女友達にすぎないのだろう。
17歳の夏の日。
彼が風のように奪っていった私のファーストキス。
恥ずかしくて顔をあげられない私とは対照的に彼はにこにこ笑っていた。
「ドキドキした?」などとのんきな言葉を発していた彼。
思い出はいつでも綺麗で私の時は止まったままだった。
せめて今夜だけは彼とつりあうようなかっこいい女でいたい。
私のほうからスマートにさよならと言おう。
「・・じゃあ、ここで・・・」
私の台詞は途中でさえぎられた。
ふいに彼に抱きしめられた。
「帰すわけないだろ。あの夜、俺がお前と過ごしていたらこんなふうに10年も離れ離れでいることなかったんだろ?もう後悔したくない」
→
女にも勝負時があるのです。
どうしても帰りたくないそんな一夜があるのです。
好きならどうか遠回りしないで。
自惚れ男
2008-03-13
合コンで知り合った女とお気楽な会話を交わし適当に口説いて一晩過ごした。
帰り際、「彼女いるの?」と聞かれた。
「いねーよ」
「じゃあ、うちらつきあっちゃわない?」
「やめとく。めんどうー」
「つめーーたーーい」
名前もわからない女が泣きまねをした。
うぜー、俺は女に聞こえないようにつぶやいた。
誰にも束縛されたくない。
家に帰るとソファでほのかが寝ていた。
冷蔵庫をあけるとラップのかかった料理が入っていた。
ミネラルウオーターを飲み、シャワーを浴びて浴室を出るとほのかが起きていた。
「朝ご飯食べる?とうや?」俺をみてすこしはにかむ。
「いらね、俺、寝るから」
「そうか。じゃあ、私、帰るね。よかったらあとでご飯食べて」
「ああ」
玄関へと向かうほのかはくるりと振り向き俺をみつめた。
「うん?」
「とうや、これで最後だから。もう来ないから。いままでうるさくてごめんね」
ほのかは無理やりの笑顔をつくり俺の部屋の合鍵を返してきた。
いつものほのかの優しいコロンの香りがした。
「な・・なんだよ、突然に」
「・・・とうやにとって私は必要な存在じゃないでしょ?」
「はあ?」
「好きだって言ってくれた人がいるの、私だけをみてくれるって・・」
ほのかの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「・・・そうかよ」こんなときどんな言葉をかければいいというのか。
「うん・・・」
ほのかは俺のそっけない態度に失望したのか悲しそうに顔をゆがめて
涙をぬぐおうともせず逃げるように去っていった。
俺は合鍵を乱暴に窓に投げつけていた。
どんなことを言ってもどんな仕打ちをほのかにしても
彼女だけは俺から離れていかないだろうと思っていた。
朝がえりをくりかえすようなこんな俺の世話をやき、
楽しそうに料理を作り、
わがままな俺の欲望を受け入れ、
とうやが傍にいてくれるだけで私はとても幸せだからとそう繰り返していたほのか。
好きとか愛しているとか正直そういう感情は俺にはよくわからない。
俺にはどこか欠落しているものがあるのだろう。
俺は冷たい床に座り込んでいた。
夕暮れが俺を包む頃
俺はとても大切な何かを失ったのだということだけはわかった。
→
今ならまだ間に合いますぞ!
彼女を追いかけて。
でも、今度は人生を共にする覚悟でいきなされよ!
プロポーズぐらいしてきなされ!
帰り際、「彼女いるの?」と聞かれた。
「いねーよ」
「じゃあ、うちらつきあっちゃわない?」
「やめとく。めんどうー」
「つめーーたーーい」
名前もわからない女が泣きまねをした。
うぜー、俺は女に聞こえないようにつぶやいた。
誰にも束縛されたくない。
家に帰るとソファでほのかが寝ていた。
冷蔵庫をあけるとラップのかかった料理が入っていた。
ミネラルウオーターを飲み、シャワーを浴びて浴室を出るとほのかが起きていた。
「朝ご飯食べる?とうや?」俺をみてすこしはにかむ。
「いらね、俺、寝るから」
「そうか。じゃあ、私、帰るね。よかったらあとでご飯食べて」
「ああ」
玄関へと向かうほのかはくるりと振り向き俺をみつめた。
「うん?」
「とうや、これで最後だから。もう来ないから。いままでうるさくてごめんね」
ほのかは無理やりの笑顔をつくり俺の部屋の合鍵を返してきた。
いつものほのかの優しいコロンの香りがした。
「な・・なんだよ、突然に」
「・・・とうやにとって私は必要な存在じゃないでしょ?」
「はあ?」
「好きだって言ってくれた人がいるの、私だけをみてくれるって・・」
ほのかの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「・・・そうかよ」こんなときどんな言葉をかければいいというのか。
「うん・・・」
ほのかは俺のそっけない態度に失望したのか悲しそうに顔をゆがめて
涙をぬぐおうともせず逃げるように去っていった。
俺は合鍵を乱暴に窓に投げつけていた。
どんなことを言ってもどんな仕打ちをほのかにしても
彼女だけは俺から離れていかないだろうと思っていた。
朝がえりをくりかえすようなこんな俺の世話をやき、
楽しそうに料理を作り、
わがままな俺の欲望を受け入れ、
とうやが傍にいてくれるだけで私はとても幸せだからとそう繰り返していたほのか。
好きとか愛しているとか正直そういう感情は俺にはよくわからない。
俺にはどこか欠落しているものがあるのだろう。
俺は冷たい床に座り込んでいた。
夕暮れが俺を包む頃
俺はとても大切な何かを失ったのだということだけはわかった。
→
今ならまだ間に合いますぞ!
彼女を追いかけて。
でも、今度は人生を共にする覚悟でいきなされよ!
プロポーズぐらいしてきなされ!
体だけなの?
2008-03-12
お互い楽しんだろ?
数時間前に情熱的なキスを私にくれた彼の形の良い唇がそう告げた。
煙草を吸いながらけだるそうに私をみていた。
残酷な言葉に私は言葉もなかった。
「こういうのは嫌なんだろう?」
彼は煙草を消し私を引き寄せ乱暴に押し倒した。
「・・・嫌、もう、嫌だ。抱くだけ抱いて何もくれないくせに。
あなたは私を好きじゃない、愛してない、遊びなんでしょ」
「お前がそう思うなら遊びなのかもな」
彼は私を拘束する力をゆるめた。
私はのろのろと起き上がり彼と向き合った。
「心も欲しい、好きだと言って欲しい・・・」
「よくばりだな」と彼は少し笑い彼の指が私の髪に、頬に、そして首筋に触れた。
「もうやめよう。俺さ、お前が欲しいものがよくわからないんだよ
体より心か。だったらどうでもいいほうの体を俺に差し出して
それで大切な方の心をくれっていうのって矛盾してない?」
こんなときにも彼はとても冷静だった。
彼女がいたクールな彼を好きになってその女性から奪い取り
いつか愛してくれるのかもしれないと彼の部屋に押しかけ通い続けたのは私のほうだった。
【私の体をあげるんだからそのかわりあなたは私に心をください】
なんて私は傲慢なんだろうか。
本当にそうだ。
彼の言葉通りお互い楽しんでいたのだ。
彼の本音を聞くのが怖くてしっかりと向き合おうとしなかった。
彼をベッドに誘いごまかしていたのは私のほうだったのだ。
→
うーん、ビターですね。
でも体から始まる愛もありますよ。
お互いを大切に思い、二人で育てていくという意識があれば可能だと思います。
数時間前に情熱的なキスを私にくれた彼の形の良い唇がそう告げた。
煙草を吸いながらけだるそうに私をみていた。
残酷な言葉に私は言葉もなかった。
「こういうのは嫌なんだろう?」
彼は煙草を消し私を引き寄せ乱暴に押し倒した。
「・・・嫌、もう、嫌だ。抱くだけ抱いて何もくれないくせに。
あなたは私を好きじゃない、愛してない、遊びなんでしょ」
「お前がそう思うなら遊びなのかもな」
彼は私を拘束する力をゆるめた。
私はのろのろと起き上がり彼と向き合った。
「心も欲しい、好きだと言って欲しい・・・」
「よくばりだな」と彼は少し笑い彼の指が私の髪に、頬に、そして首筋に触れた。
「もうやめよう。俺さ、お前が欲しいものがよくわからないんだよ
体より心か。だったらどうでもいいほうの体を俺に差し出して
それで大切な方の心をくれっていうのって矛盾してない?」
こんなときにも彼はとても冷静だった。
彼女がいたクールな彼を好きになってその女性から奪い取り
いつか愛してくれるのかもしれないと彼の部屋に押しかけ通い続けたのは私のほうだった。
【私の体をあげるんだからそのかわりあなたは私に心をください】
なんて私は傲慢なんだろうか。
本当にそうだ。
彼の言葉通りお互い楽しんでいたのだ。
彼の本音を聞くのが怖くてしっかりと向き合おうとしなかった。
彼をベッドに誘いごまかしていたのは私のほうだったのだ。
→
うーん、ビターですね。
でも体から始まる愛もありますよ。
お互いを大切に思い、二人で育てていくという意識があれば可能だと思います。



